Community and Space Design Course

まちづくりデザインコース

地域社会を活性化させる、まちづくりデザインを考える

地域社会を活性化させる、まちづくりデザインを考える

良好な都市環境を創出・再生するために、住民との対話と協働を進めるコミュニティデザインや既存建造物の再生・利活用、ランドスケープデザインなど、総合的な観点から地域社会を活性化するための理論や方法を学びます。



ピックアップ講義

まちづくり論

都市計画の考え方との関係や、これまでの変遷・歴史、現在における法制度など、まちづくりに関する基礎的な知識やその思想的背景を、具体的な事例の学習を通して学びます。また、ワークショップ形式で実施する授業を通して、他者との対話による学びのプロセスを体験し、まちづくりに取り組むための姿勢や心構えを理解することを目指します。

アーバンデザイン

都市は建築だけではなく、交通手段としての道路や駅、憩いの空間としての公園や水辺といった都市基盤が、その都市の特徴(コンテクスト)を創り出しています。この授業では、都市がどのように創られてきたかを知ると共に、これからの都市をいかに再生させるべきかについて、道、広場、河川、公園、街区など都市を形成する都市基盤の整備に関する「手法」について考えます。

都市形成史

建築と都市の未来、またその保存と再生を考えるためには、基盤となる都市の空間構造を総体的に把握することが必要不可欠です。この授業は西洋および日本における主要な歴史的都市を通観しつつ、古代から近代に至るまでの様々な都市空間の形成の歩みとその空間的特質について、総合的に学ぶことを目的とします。授業では事例として挙げた都市空間について、図的資料や各種文献を用いて、その特徴的な空間構造を比較対照しながら、固有の文化や風土、さらに社会・経済史的背景を踏まえつつ、空間構成の特徴を解説していきます。

ランドスケープ論

建築やランドスケープを設計する過程において、敷地のコンテクスト(状況・文脈)を理解することは、最も重要な作業です。コンテクストを理解した上で、空間を構築することが、利用者にとって最良の建築を創る条件なのです。この授業では、都市デザインの理念について、ランドスケープデザインの視点から考察します。先人達が何を考え、どのように風景を創ってきたか、多くの事例を参考に、歴史的・風土的側面から分析すると共に、都市における風景のあり方について考えます。建築やランドスケープ、インテリア等、職能領域を問わず、設計行為における「作法」について習得することを目的とします。

建築再生計画論

近年では既存建造物を文化的なストックとして認識し、有効活用していく方向へと視点が変わりつつあります。この授業では、歴史的都市と建築の再生の先進国であるイタリアの再生事例および都市計画事例を中心に、日本各地や地元横浜の優れた事例を紹介しながら、再生・活用の理念と計画方法と共に、建築物の再生のあり方を総合的・多角的に考えていきます。


デザインスタジオ

まちづくりデザインスタジオ1

昨今の複雑な社会状況の中では、与えられた要件に対してただ形を与えるような設計の方法では様々な困難な問題を解決に導くことは難しく、そこでは建築家自身がそもそも「何をつくるか?」を検討する段階から積極的に関わることが重要であり、そうしたソフト面での提案を併せた新しい建築空間が求められています。この授業では対象とするエリアが抱える問題や潜在する資源を自身で見つけ出して課題設定を行い、“モノ”と“コト”を含む広義のデザインを通して独自の提案を行うことを目指します。

授業テーマ 第一課題では「まちの萃点をつく-都市の大きな変化を導く小さなアクション」と題し、各自のテーマ(問題設定)や選定敷地に基づき、用途・機能を自由に定め、面としての都市の変化により大きな効果をもたらす点としての建築、すなわち都市の萃点となる建築を構想します。
第二課題では「Regenerative Architecture―人間以外の主体と共進化する建築」と題して、着目する人間以外の主体を決め、2050年までの段階的なシナリオを描く中で変化する建築を考える。京急金沢文庫駅を対象とし様々な人や物が行き交う結節点である駅という機能に着目して、人間に限らない主体に良い影響を与えるような駅のあり方を考えます。

まちづくりデザインスタジオ2

この授業では歴史的建築物の再生・利活用をテーマとして、対象建物の調査および改修案の提案を行います。始めに対象建物の現況実測調査と歴史的背景に関する調査を行い、建物と敷地への理解を深めると共に、周辺地域のコンテクストを分析します。これを基に再生・利活用のための建築プログラムを提案し、これを実現するための改修案を設計します。

授業テーマ この授業では歴史的建築物の再生・利活用をテーマとして、対象建物の調査および改修案の提案を行います。

第1課題として対象建物の現況実測調査と歴史的背景に関する調査を行います。実測調査を通じて建物の歴史的背景、建物を形づくる意匠、構造、材料といった建築的特徴を明らかにします。また周辺地域のコンテクストを読み取り、対象建物の都市・地域における機能と役割を明確化します。

第2課題では調査で得られた成果を基にして、対象建物を再生・利活用するための建築プログラムを考え、これを実現するための改修案を設計していきます。

総合デザインスタジオ

この授業では、建築や都市の分析手法・デザイン手法や理念を発展させながら、現代的・社会的視点を持って地域の今後のあり方を提案するプログラムづくりから始まり、実際の建築やランドスケープや都市を計画・設計することを行います。地域の様々な特性やコンテクストを読み取りながら、建築や都市が持つ可能性を検討し、空間の提案をします。

授業テーマ この演習授業は、特定の地域における都市空間の特性を調査分析し、その街の可能性を最大限に活かした都市デザインに挑戦する。建築やランドスケープといった職能上の区別なく、建築の内部空間からランドスケープのデザインまで連続的に提案する能力を養う。また交通や社会福祉等の地域的な社会問題から、地球温暖化やエネルギー、食糧確保といった地球規模の問題に関する知見も求められる。

2016年度は、横浜市金沢区並木地区の住宅団地である「金沢シーサイドタウン」をフィールドに様々な提案を行う。この団地は、「六大事業」と呼ばれる、横浜市の戦後最大級の基幹事業の一環として40年前に創られた郊外型団地である。建築家の槇文彦をはじめとする数名の著名建築家が、その計画に参画したことで、当時としては非常に注目された実験的な住宅団地である。全国の団地同様、少子高齢化等の社会問題は深刻になりつつあり、団地を取り巻く環境を様々な視点から調査分析し、的確な未来像を創り出すことが求められている。

この演習授業を通して検討された学生の設計提案は、地元の住民に対して公開され、これからの「金沢シーサイドタウン」のあり方を模索するための材料に供される。近未来の団地のあり方に関して、住民と議論することを通して、学生たちは、社会に貢献する建築や都市のあり方に関する知見を深めることが、この演習授業の究極の目的である。

※注:総合デザインスタジオは、建築デザインコース/すまいデザインコース/まちづくりデザインコース、3つのコースの合同開催スタジオです。