これから建築・環境学部で学ぶ皆さんへ

学部長からのメッセージ

現代社会の課題を建築によって解決する糸口を見つけよう

-文理融合の発想に立ち、広い視野から物事を捉える- 

今日、われわれは少子・高齢化対するコミュティの再生、自然と地球環境との共生、自然災害に対する安全性の高い建築・都市のデザイン、社会資産となる建物の維持管理や歴史建築物の保全と再生、さらには地球温暖化対策と省エネルギー化など、解決しなければならない多くの問題を抱えています。このように、社会と建築、さらにそこに住まう人間が相互に関わり合う問題を解決するためには、多角的に物事をとらえ、総合的に思考し答えを導き出してゆくことが大切です。建築は、そのために重要な役割を担っています。しかし、私たちが直面する課題を「建築」という手段で解決しようとするとき、工学的な視点のみからのアプローチには限界があります。自然科学や工学などの理系の視点のみではなく、芸術や思想、歴史などの文系の視点も取り入れ、総合的に思考できる能力を養うことが重要です。建築・環境学部では、その学びを実践できる「ソフト」となる独自の教育カリキュラムと「ハード」となる新しい学修環境を充実させました。

大塚雅之 教授
建築・環境学部長
専門は建築設備・環境工学。
研究・設計で、環境設備デザイン賞、サステナブル建築賞、空気調和・衛生工学論文会賞などを受賞。

建築・環境学という広い視点から建築を総合的に学ぼう

-独自のカリキュラムと5つの新たなコースで学ぶ- 
工学の一部としての建築学では、「デザイン」と「エンジニアリング」の統合に重点がおかれてきました。しかし、現代社会の抱える課題を解決するには、それでは不十分です。そこで新たに過去から現在・未来へ持続する「時間」と、われわれをとりまく全ての「環境」という2つの視点を加え、建築をより広い観点から総合的に学べる「建築・環境学」という学問フレームを作りました。 そこで、建築・環境学を実際に学ぶ方法として、建築デザイン、建築エンジニアリング、環境共生デザイン、まちづくりデザイン、すまいデザインの5つのコースを作りました。学びの流れに従って、1年次、2年次の建築学の基礎科目となる建築設計製図などの学修を行いながら、じっくりと進みたいコースを見極めて下さい。3年次からコースに分かれますが、4年次ではコース変更ができる仕組みになっています。これらの5つのコースでは、少人数でのプレゼンテーションを主とした「スタジオ」という授業方法を採用しています。ここでは教員と学生が常に対話し、スケッチや図面を書いたり、設計対象とするエリアを調査したりします。この実践的な教育によって、人と対話し、議論しながらデザインをまとめ上げ、それをプレゼンテーションできる能力を養ってください。また、各コースのカリキュラムは、一級建築士の受験資格となる専門科目が、上手に盛り込まれているので、シラバスをじっくり読んで履修してください。

環境と共生する新たな学びの場を生きた教材として活用しよう

-建築・環境棟(5号館)の実践的な建築技術を体験しながら学ぶ-
建築・環境学の学びの場にふさわしく、様々な環境共生技術を取り入れた持続可能な(サステイナブルな)校舎、建築・環境棟(5号館)が完成しました。この新棟は、様々な技術が学べる生きた教材としてデザインされています。建物の外部は、ガラスのダブルスキンやルーバー(日除け)で覆うことにより、断熱性・日射の遮蔽などに配慮しており、省ネルギー効果を高めた設計がなされています。建物の内部には、自然採光の差し込む中、鉄骨と鉄筋コンクリートの混構造が実現した快適な大空間製図室、天井放射冷暖房や最新の省ネルギー技術も盛り込んだデザインスタジオ、床吹き出し空調システムを備え講演会や卒業研究発表会にも活用できる多目的ホールなどがあります。この建築に盛り込まれたデザイン、構造、材料・施工、環境・設備といった様々な分野の技術は、身近に学べる生きた教材と言えます。この新校舎をフルに活用し、日々の学修効果を高めるとともに、実践的な技術についても学んで下さい。

日々の学修をとおしキャリア(進路)について考えてゆこう

-キャリアセミナーや学部イベントへ積極的に参加する-
建築には広い分野の職種があります。例えば建物の総合的に設計・施工・管理を行うゼネコン、設計を中心とした設計事務所、住宅の設計・施工・販売を行うハウスメーカーなど。初年次から学部独自のキャリア教育セミナー(進路指導セミナー)もおこない、皆さんに、OBやOGが進路選択の体験や業務内容を伝え、ともに懇談できる機会を設けています。そんな企画に積極的に参加して、実社会での建築の果たす役割やけんちく業界の動向を学ぶことも大切です。その成果もあり、90%以上と高い就職率をキープしています。 また、ロシアや韓国の大学との国際交流、横浜赤レンガ倉庫で教育成果を展示し一般公開する建築展などの独自のイベントも行いっています。キャンパスライフをより豊かに、そして充実したものにするために、積極的に参加されるよう期待します。
 このように充実した教育環境のもと、現代社会が抱える諸問題に立ち向かい、新たな建築空間を総合的に創造できる力を身につけ、社会に巣立ってもらいたいと思います。