総合デザインスタジオ

第2回 リサーチ課題1

2024/04/15

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担当:担当:中津秀之

専任教員:柳澤潤、黒田泰介、古賀紀江、粕谷淳司、酒谷粋将

非常勤講師:高橋堅、岡路明良、針谷將史、納谷学、板坂留五

助手:村山徹、Yap Minwei

TA:荻尾明日海(M1)、勝又小太朗(M1)、薗田さくら(M1)、高橋葵衣(M1)

 

2024.04.15(月) 3,4講時目「総合デザインスタジオ」の第2回目が行われました。

この授業は、履修者全員が5つのトラックに分かれて行われる演習授業です。各トラックに複数人の教員が付き、それぞれ異なったテーマの課題が出されます。下記各トラックの授業様子です。

 

<トラック1>

指導教員:酒谷粋将、高橋堅 TA:高橋葵衣

第2週となる今回の授業では、トラック1ではそれぞれが作成してきた「地価マップ」の発表が行われました。前半は、グループ(賃貸・戸建て・集住)ごとに作成してきた地価マップを、後半は各自が興味を持った点をもとにつくったマップを発表してもらいました。

様々なマッピングのされ方がありましたが、地価の情報だけを単調に記しているものが多く見受けられました。土地の起伏や、どこにどんなお店や学校があるのか、どのような歴史を持つ街なのか、など深いリサーチを行うためには一つの情報だけでなく、たくさんの情報を集め、まとめることが大切です。様々なリサーチデータを重ね合わせたとき、それぞれに考察が生まれてくるはずです。

授業最後のまとめとして、先生方からは、「地価相場などの観点からリサーチの解像度を上げる作業を各自で徹底すること、各班の内容をオーバーレイし、地図から気づきを得られるようにすること、自分が何に着目するかを決め、その視点を持ちながら地図を読み解くことで見えてくるものがあるはず」と、これからのリサーチを進める上での指導をいただきました。

それぞれ独自の視点を持って地図を読み解いていくことが新たな気づきにつながると思います。

来週はもっと面白い地図がみられることを期待しています!

TA:高橋

 

 

<トラック2>

担当:納谷学、ヤップ・ミンウェイ、黒田泰介 TA:荻尾明日海

本日は、第1課題の事例見学として、神奈川県愛川町にある「春日台センターセンター」を見学しに行きました。春日台センターセンターは、かつて賑わったスーパーマーケット「春日台センター」の跡地を、福祉を核に再びセンター化する計画であり、福祉事業者と建築家が長い年月をかけてプログラムや規模など枠組み作りから協同したプロジェクトです。

実際に訪れると、想像以上の賑わいに驚いた人も多かったのではないでしょうか。先生方からは、その現象がなぜ起きているのか?それを考察しながら見てほしいと話がありました。街とつながっているような通り道や、大きく飛び出た木の庇、小上がりなど、賑わいを生む空間の工夫があらゆるところに存在していたように思えました。

学生たちのカメラも、平面や上下のつながりを思わせる方向に自然と向いていたように感じました。

個人での見学と同時に、個別エスキスが行われました。頭の中で考えて話している人から具体的なテーマを決めて紙にまとめている人まで、すでに学生間で差が生まれていたように感じました。建築を見に行くときのポイントとして先生方から、「建物単体ではなく、街との関係を見る」、「どこに(何に)視点を当てるかで空間の見え方が変わる」などのアドバイスがありました。事例調査にダイアグラムやプログラムも必須ですが、建築でどのような工夫がされているかに注目することが大切です。

最後に、施設の方にグループホームを案内していただきました。この施設の運営面や、今回見学しただけでは見えなかった、施設が抱える問題点などたくさんのお話の中でも、「この場所で楽しく過ごしている」と笑顔でお話しされていたことがとても印象的でした。

実際に建築の使われている様子を見られたことで、これから課題を進めていくイメージを掴めたのではないでしょうか。今回見たモノやコトをぜひこれからの設計に活かして欲しいと思います。

次回からは、A1サイズの紙に自分が行った調査・考察等をまとめてくるようにと指示がありました。調べる参考事例は早めに決定し、自分が興味のある「視点」を持ち、自分が対象とする街の調査につなげていくことを意識しましょう。

TA:荻尾

 

<トラック3>

担当教員:岡路明良、粕谷淳司 TA:勝又小太朗

2024年4月15日(月)第2週目となる本日の授業では、トラック3の対象敷地である子安エリアに、フィールドサーベイに行きました。担当の先生と学生とで散策し、街の特徴を観察していきます。

漁業を生業として成長してきた歴史あるエリアでは、当時の時代を感じさせる漁船や船小屋の数々、陸から延びる桟橋などが海側の至る場所に見られます。この子安エリア独自の「暮らし」と「職」が生み出す生活の形が広がっていました。

また、このエリアには、井戸が至るところに点在しており、獲った魚をそこで洗っていたされる場所があったり、銭湯や公園など今でも人が集まる憩いの場所があったりと、昔と今とで変化した数多くの風景も見ることができました。

この場所は、外に出ている人は少なく、静かな印象を与えますが、夕方になるに連れて、子ども達の声が聞こえてきたり、ご近所さん同士が外に出て喋っていたりと、生活の声で溢れていました。違う曜日や、時間帯にも足を運んで、ぜひこの場所の風景を感じ取って欲しいと思います。

フィールドサーベイではそれぞれ発見したこと、感じたことを全員で共有をしました。

今の時代、建て替えなど新しいものにシフトするだけではなく、今ある空間や今ある風景を大事にしていく考え方が大事だとされています。この場所で得たことから現代社会に対して、何ができるのだろうかといった普遍的な問題にアプローチすることがこのスタジオで期待されていることです。

トラック3の大きなテーマの1つである「繋ぐ」ことを大切にし、他の場所とこの子安エリアは何が違うのか、何をこの場所に残し提案をするべきなのかをこれからリサーチ重ね、何を繋いでいくのかを見つけ自分なりの生活の形を考えて欲しいと思います。

次週は各テーマでグループ発表をしてもらうと共に、個人テーマについて、現状でどのようなことを感じているのかを発表していただきます。

今回のサーベイで発見したことや、更に調べて分かったことなど、この街について深掘りをすると共に自分なりの「L I F E」を見つけて欲ほしいと思います。

TA:勝又

 

 

<トラック4>

担当教員 板坂留五、村山徹、古賀紀江 TA:薗田さくら

トラック4では、前回出された宿題の、関内エリアを歩いて興味あるものをひたすたらカメラで撮り、印刷して自分が何に興味があって写真を撮っていたのかをじっくり眺めて考え、写真のテーマと感想を考える。これらを発表形式で共有しました。

ひとり一つの机を利用して、関内の敷地図と各自で撮影してきた写真を、レイアウトを考えながら並べていくところから授業が始まりました。

並べて全体を見てみると、同じような場所でも見ていたものは違っていたりして、何一つ同じものがないことが分かります。

スクエアで撮っている人、長方形で撮る人、写真の縦横が違うなど、撮り方からも個性が出ていてとても興味深かったです。

発表の内容としては、まずどこを歩いたか、撮ってきた写真の全体のテーマ、そして写真について発表してもらい、先生方が順番にまわって指摘するというかたちで授業を進めました。

坂と階段をメインに撮った人や、足元の植物や建物を撮る人など様々で、写真を見てどんな生活をしているのか、どんな使われ方をしているのか、想像して話し合う姿が見られました。

次回までの宿題は今回やってきたことのブラッシュアップです。ある程度の写真の量がないと比較が難しいと思うので、身体化するためにも引き続きまちを何度も歩いてみましょう。

最終的にはブックレットを製作するので、様々なジャンルの事例を見て、イメージを付けて課題を進めていくことをお勧めします。

皆さんが撮ってきた写真がどのようなかたちで最終的にまとまるのか、楽しみです。

TA:薗田

 

 

<トラック5>

担当教員:針谷將史、柳澤潤 TA:髙橋葵衣

 

トラック5では、個々の学生が街中で探してきた「スモール・インフラ・ストラクチャー」についての発表が行われました。

よく利用している商店街をリサーチ対象敷地として選定し、そこから看板やチラシ、自動販売機、シャッターをインフラとして挙げていた学生や、スモールインフラを「幸せになれるもの」と定義し、温泉やお花を挙げていた学生など、それぞれの着眼点でスモールインフラを捉えていました。

全体の発表をまとめて、柳澤先生からは「インフラを構成する要素に目が行き過ぎている。スモールインフラだから小さいものを見つけてくればいいというわけではなく、社会とどのようにつながっていけるか、もっと広がりのある中で考えて欲しい。」と、また針谷先生からは、「維持・管理する仕組みができてはじめてインフラになる。リサーチで見つけてきたものにどのように人間を介入させるか、そこまでイメージを働かせてほしい。既存の大きなインフラを、身体スケールに近づけていくアプローチがあっても良いし、スモールインフラから離れて考えてみることも大切。」というヒントをいただきました。

また先生方の指摘では、「定量化」や「定性化」という言葉が繰り返し使われ、今回のスタジオのキーワードだと思いました。またリサーチを進める上で、1つの視点からだけでなくいろいろな方向からデータをまとめ、比較することが重要です。

来週も引き続きスモールインフラについてのリサーチが行われます。

もっといろんなスケールで街を捉え、多方面の視点を持ってリサーチをしましょう。

先生方との対話の中で、スモールインフラに関してだけでなく、街の見方やリサーチの仕方、データのまとめ方、レイアウトの大切さなど多くのヒントを得たはずです。

もっともっと濃いリサーチと共に、創造力が広がっていく楽しい発表を期待します!

TA:高橋


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