神戸研究室では、山形にある建築物の見学会に参加いたしました。今回は、日本工業大学 建築学部の那須先生の研究室、山形大学 濱先生、汐満先生と本学の神戸研究室が参加いたしました。
見学させていただいた建物は、東根の家(設計:鍋野友哉アトリエ、構造設計:ホルツストラ)、東根の家Ⅱ(設計:鍋野友哉アトリエ、基本構造設計:ホルツストラ)、常安寺 五重塔(設計:関設計、構造設計:桜設計集団)です。
東根の家は、鍋野氏のご自宅で、同氏には先日川崎の建築物の見学の際、ご説明をしていただきました。母屋は、CLT(Cross Laminated Timber)をヴォールト屋根として用いたことが特徴的な住宅です。玄関を入ると曲面の屋根が迎えてくれ、振り返るとお子様が遊ぶためのボルダリングがあり、お子様は上って上階にいくことができます。階段やテーブルにはLVL(Laminated Veneer Lumber)が用いられており、新しい木質材料をふんだんにもちいた建物となっています。雪国であるため融雪のための工夫、太陽光パネルの設置など、様々なところを丁寧に説明していただきました。
隣接する東根の家Ⅱは、住宅付属車庫と離れとなっています。最高高さ5m以下と低めの構造ではありますが、浮庭が非常に開放的な空間を作り出しています。また主要な柱材・梁材は105mm角の材を用いながら、面材充腹梁とすることで、2階床の最大スパン5m超を実現するという構造的特徴を有した建築です。2階にあがる階段は彫刻家 高田氏の作品となっており、他にはない唯一の階段になっています。浮庭では、そこでの過ごし方などを鍋野氏よりゆっくり説明していただきました。
常安寺 五重塔は、平成28年着工し、令和元年完成した、現時点で最も新しい、純木造の塔です。用いられている木材は天然の青森ヒバであり、これらの木材を宮大工さんが加工し、伝統的な組み方で作り上げました。また、周辺の地盤の状況を考慮し、杭基礎も用いられているとのことでした。昔ながらの技術と、現代の技術をうまく組み合わせていました。今回、ご住職のはからいにより、塔の内部を見学させていただきました。寺社建築は外側から見学できることが普通ですが、より詳細な部分を見学させていただく機会をいただき、深く木造建築の素晴らしさを見て学ぶことができました。(塔内部の写真は控えさせていただきます)
このたびは、鍋野氏、常安寺 ご住職に大変にお世話になりました。また、山形大学の先生方、日本工業大学の那須先生 研究室の学生の皆様と共に学ぶことができ、良い経験をすることができました。皆様に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
鍋野友哉アトリエ:https://tmya.jp/
「東根の家」掲載誌:新建築 2023年2月号
「東根の家Ⅱ」掲載誌:ディテール、No.242、2024年10月
常安寺 五重塔
天童「令和の塔」常安寺五重塔 建設の記録: