総合デザインスタジオ (4年)

第4回 エスキス3

2025/05/12

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担当:中津秀之

専任教員:柳澤潤、黒田泰介、古賀紀江、粕谷淳司

非常勤講師:高橋堅、岡路明良、玉田誠、納谷学、板坂留五

助手:Yap Minwei

TA:荻尾明日海(M2)、勝又小太郎(M2)、石垣仁(M1)、伊藤希(M1)、南部紗良(M1)

 

2025.05.12(月)「総合デザインスタジオ」の第4回目が行われました。

この授業は、履修者全員が5つのトラックに分かれて行われる演習授業です。各トラックに数人の教員が付き、それぞれ異なったテーマの課題が出題されます。

本日は、授業の冒頭で髙橋堅先生から全トラックの学生に向けてレクチャーをしていただきました。

実際に高橋先生が設計された建築のほか、什器や漆器など、様々なスケールの作品をご紹介いただきました。寸法の納まりや素材の扱い方などの話があり、素材感による光の反射や周りの景色を取り込む様子は非常に美しいものばかりでした。手に収まるサイズのものから建築にまで一貫したものづくりへの考え方の話は、学生たちが新たな視点で物事を見るきっかけになったのではないでしょうか。

 

下記、各トラックの授業の様子です。

 

 

<トラック1>

 

担当:高橋 堅 TA:石垣 仁

 

第4週目となる今回、トラック1では先週作成したライフスタイル表、敷地候補の解像度を上げて議論している学生が先週に比べて増えました。選定敷地の周辺リサーチを進めつつ、1/100周辺模型でスタディの前段階まで手が以後居ている学生も見受けられました。

しかし先週同様、一定の形にはなってきているものの、検索して集めた周辺情報がそのまま貼り付けられている状態で、「自分のリサーチ」としての再構成がまだできていない様子でした。そのため、何を伝えたいのかがやや見えづらく、資料としての説得力にもう一歩という印象を受けました。一方で、別の学生はマップの扱いや地域の選定が非常にうまく、リサーチも丁寧に整理されていて見応えがありました。ただし、まだ自身のライフスタイルに合わせた敷地を確定しきれておらず、模索している段階のようです。

どちらの様子からも、情報を「集める」ことと「伝える」ことの間には大きな隔たりがあることを実感しました。

来週はいよいよトラック内発表です。情報を集めるだけでなく、自分の視点を持って再構成し、何を伝えたいのかを明確に示すことが求められます。集めた情報に自分の視点を加え、「伝わるリサーチ」へと昇華させていく力が問われてくるように感じます。誰が見ても理解できる資料となるよう、リサーチの質と伝え方の両方を意識して準備を進めてほしいと思います。

TA:石垣 仁

 

 

 

<トラック2>

 

担当:納谷学、ヤップ・ミンウェイ、黒田泰介  TA:伊藤希

 

トラック2では、先週、事例調査のリサーチが終わり第二課題に向けた各自のリサーチ発表を行いました。自分が対象とする敷地のリサーチでは、具体的なテーマを決めて周辺の環境や表、グラフを用いて分析している学生が多く見られました。

リサーチを発表する際、今まで調べた情報を相手に伝えやすく表現することが重要です。

自分が話したい順番で資料を準備することで、ストーリーとして相手に伝わりやすく不足している事の確認にもなります。

地図に色や写真を貼り、マッピングしてくる学生も多くいましたが、全てを1枚にまとめると情報量が多くなってしまいます。まとめられる所はまとめて、分かりやすく見やすい資料を作ることを心掛けましょう。どれが住宅で店舗なのか、敷地の範囲はどこなのか、地図を見たら分かることが大切です。

現状の様子や分析をした結果から、まちの病を治す提案がまだ具体的ではなく曖昧だと感じました。対象とする敷地に何が問題で何が必要なのか考察、イメージは伝わりましたが、自分の意見だけで終わってしまう学生もいました。実際に対象とする場所や人のニーズに応えることがまちを病から治す事に繋がります。

1つの問題に視点を置く事も大切ですが、視野を広げてリサーチを進めていく事で、他の問題も見えてきます。長く滞在している場所や過ごしている時間など敷地周辺も含めて、より具体的に情報を突き詰めてみましょう。

まちの良い所も悪い所も、まちの医者となって診ることで第二課題に向けたキーワードが見つかったり、自分のやりたい事や方向性が見えてくると思います。

次回はトラック内講評です。今まで調べてきた情報から、現時点の自分の考えや提案をしっかりまとめてきましょう。

TA:伊藤

 

 

<トラック3>

 

担当教員:岡路明良、粕谷淳司 T A:勝又小太朗

 

2025年5月12日(月)第4週目となる本日の授業は、先週に引き続き、エリアリサーチを行なっていただきました。

横浜・関内関外エリアを舞台に、「まちに開かれた居場所」を見出すことを課題としています。しかし、そのためにはまず、当たり前だと思っていたことを疑う必要があります。道の途中にぽっかり空いた空地。ベンチが置かれた小さな広場。人が集まるように見えるけれど、それは本当に「居場所」と言えるのでしょうか。

街を歩いてみると、たしかに「交流の場」や「休む場所」がたくさんあります。何となく足早に通り過ぎてしまう場所。立ち止まりづらい雰囲気。そうした場所には、「居てもいい」と感じさせる理由が足りないのかもしれません。だからこそ今回の課題では、目に見える形や使い方だけでなく、「その場所が本当に必要とされているのか?」という問いから出発することが大切です。

リサーチでは、関内関外エリアを実際に歩き、街の中の微妙なズレやなんとなく気になる場所、通勤中の人々が自然と避けて歩く道の端、古い建物の隅にできた小さな導線、静かで誰もいないのに、なぜか落ち着く裏通り。これらの場所には、都市の中では気づかれにくい「居場所のヒント」が隠れているはずです。

「まちに開かれた居場所」を考えるときに大切なのは、「なぜこの場所でなければならないのか?」という理由です。誰かがなんとなく通りすぎる場所に、あえて居心地のいい空間をつくる。声をかけなくても“誰かの気配”が感じられるような空間にする。特別な目的がなくても、ただぼんやりできるような余白を持たせる。そうすることで、建築が街と人の関係を新しくつくり直す力を持てるのだと思います。

建築は、ただ「建物をつくること」ではなく、「人と人、人とまちの関係を組み替えること」でもあると思います。今回の課題では、空いている場所をただ活用するのではなく、「どうすればここが居場所になるのか?」という問いに、自分なりの視点で向き合っていきたいただきたいです。

勝又

 

 

<トラック4>

 

担当:板坂留五、古賀紀江 TA:荻尾明日海

 

本日は、出版社NEUTRAL COLORSさんへ見学に行きました。

NEUTRAL COLORSさんは、少人数が集まって印刷、製本、流通までを一貫して行うスタイルで活動されています。事務所には、リソグラフ、製本機、断裁機、折り機など、印刷製本ができる様々な機材が揃っており、初めて見る学生たちは興味津々でした。

リソグラフの説明の中では、実際に印刷する様子も見せていただきました。印刷元のデータを変えるのではなく、印刷の際に色の載せ方で違う表情をデザインするというのはとても面白かったです。

本日案内をしていただいた加藤さんと加納さんには、学生一人ひとりのエスキスもしていただきました。学生たちがやりたいことのイメージに対して、参考になりそうな本を紹介してくださり、編集の仕方や束ね方の提案までしていただきました。自分が見せたいものと読者の視点の関係を考えるきっかけとなる意見をたくさん頂けた、とても貴重な機会でした。今回参加した学生は、ここで見たものをぜひ自分の作品制作に生かしてほしいと思います。

5月12日(月)

本日は、板坂先生がお休みのため村山先生に授業に入っていただきました。

まず、これまでのエスキスの様子を知らない村山先生が、何も説明のない状態で各学生のブックレットを見てから、1人ずつのエスキスへと移りました。初めて見た人に自分の意図が伝わるのか、見た人がどう解釈するのか、何を感じるのかなど、新たな視点が入ったことで、構成を考え直すきっかけとなったのではないでしょうか。

学生たちは前回のエスキスを踏まえ、ブックレットの束ね方の工夫をしていました。先生方と意見を交わす中で、どの学生も段々とブックレットの構成が見えてきた印象でした。こんな感じがいいかも!というイメージが浮かんだ時に頭の中だけで考えるのではなく、まずは手を動かしてみることも大切です。たくさん試していくうちに、自然と自分が納得のいくものが見つかるかもしれません。

また、現在はどの学生も写真を同じくらいの大きさで普通紙に印刷し束ねている印象でしたが、その場所の実際のテクスチャを感じられるように素材感を工夫すること、伝えたいことに合わせて紙をずらしたり大きさを変えたりすることなどを通して、もっと良い作品になる可能性を感じました。

次回のグループ内講評までに、今回受けたアドバイスを踏まえてイメージをカタチにしてきて欲しいと思います。

TA:荻尾

 

 

<トラック5>

 

担当:玉田誠、中津秀之 TA:南部

トラック5では、前回に引き続き「単位」について各自がリサーチしたことを発表しました。

今回は長期休暇明けということもあり前回、先生からお話しいただいたアドバイスを受け実際に敷地調査に行った学生や、図書館で資料収集を行った学生が多くみられました。また、自分の決めた「単位」からリサーチを深めている学生がいる一方で、興味があるものの、そこからの「単位」やリサーチ、敷地選定との組み合わせがうまくできず、悩んでいる学生もいました。

先生から、第一課題講評に向けていくつかアドバイスをいただきました。

今回、リサーチをまとめる際に文字が多い生徒がいましたが、ダイヤグラムやスケッチなども用いて説明すること。何を伝えたいのか、「単位」は何なのか。をはっきりさせ、そのために必要な情報の取捨選択をすること、を教えていただきました。

説明する順番や話し方、図を作成するなど工夫をし、聞き手に興味を持ってもらえるようなプレゼンを目指しましょう。

次週は第一課題のグループ内好評です。学生それぞれが様々な視点からリサーチを行い、面白いテーマがたくさんあります。第二課題に繋がるよう、今後も楽しみながら課題に向き合っていきましょう。

TA:南部


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