総合デザインスタジオ (4年)

第2回 エスキス1

2025/04/21

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<トラック1>

 

担当:高橋 堅 TA:石垣 仁

 

第2週目となる今回のトラック1では、自己紹介シート、ライフスタイル表、敷地候補(3箇所)を照らし合わせながら、将来の漠然とした未来を鮮明化させるように解像度を上げていくための課題を各自で準備しました。

自分のライフスタイルについて考える中で、将来の家族や両親との関わり、仕事先や趣味、またペットや孫なども視野に入れ将来像を検討してく学生がいる一方、不動産業者のアットホームなどで、土地や物件の値段を設定している学生もいました。しかし、設定する土地が好条件であってもライフスタイルが明白になっておらず、近隣のスーパーマーケットや、職場までの距離など未確定要素が浮き彫りとなる学生もいました。

それぞれが独自のライフスタイルの形成を話し合うことで新たな気づきになるでしょう。

好条件な敷地を選択した学生は、次週に向け周辺のリサーチを進めつつ、その場所での生活から老後までのイメージを膨らませて、明確なストーリーを準備しましょう。

ライフスタイルがとても興味深い学生も、自分に合った土地をしっかりリサーチして、どのように生活していくのかを地図やプレゼンボードなどを作り、多角的な視点で議論できるように準備して来ることを期待しています。

TA:石垣 仁

 

 

<トラック2>

 

担当:納谷学、ヤップ・ミンウェイ、黒田泰介  TA:伊藤希

 

本日は、第1課題の事例見学として、東京都江戸川区西葛西にある「西葛西APARTMENTS-2」の見学に行きました。西葛西APARTMENTS-2は、「自分たちの街を自分たちで変える」という思いからオーナーである駒田建築設計事務所がプロジェクトに携わりました。1階にベーカリーとカフェ、2階にコワーキングスペースと駒田建築設計事務所、3、4階に賃貸住宅が入る複合施設です。

実際に訪れると、1階のベーカリーが定休日のため、人の賑わいを見る事は出来ませんでしたが、自由に入りやすい動線でイベントの際は多くの人で賑うと聞きました。

設計事務所スタッフの方から、建物についての説明を聞き見学させて頂きました。地域との関わりから事務所のスタッフがサポートをしてイベントを行うなど、住むだけではなく働く、商う、集まるといった地域との強い繋がりを感じました。

最後に、建物内にある「やどり木」と呼ばれるスペースをお借りしてエスキスを行いました。

第1課題で挙げていた、事例の調査と見学の感想を発表しました。調査と共に自分が対象とする敷地や問題を分析してくる人やイメージだけで具体的な裏付けがない人など、来週のエスキスに向けて自分の課題がそれぞれ見つかったと思います。

エスキスの際、先生方からは、データを載せるだけではなく発見した情報を選別して、計画的な工夫や仕組みを相手に伝わるように考察する事が重要との話がありました。調査した結果をアウトプットする事で、まちの良いところも悪いところも見えてくると思います。

来週は、事例のまとめと自分が向き合いたいまちの発表です。調査と共に考察を行い、まちの課題を見つけていきましょう。

TA:伊藤

 

 

<トラック3>

担当教員:岡路明良、粕谷淳司 T A:勝又小太朗

 

2024年4月21日(月)第1週目となる本日の授業は、事前調べの発表と敷地見学を行いました。

このスタジオでは、「都市に内在する課題を読み解き、空間を通して応答する」というテーマのもと、住まいの在り方や人とまちとの関係を見つめ直します。対象エリアは、横浜市の関内・関外エリアです。開港以降の歴史が色濃く残るこのまちは、いまも大きな変化の渦中にあります。

関内・関外エリアは、かつて運河が通っていたことや、関所が置かれていたことが、今の都市構造や文化に深く影響を与えています。運河は、物流の要所としてだけでなく、当時の都市のレイアウトにも大きな役割を果たしていました。また、せきしょがあったことによって、都市の出入りが厳しく制限されており、それが人々の生活様式や地域の発展に大きな影響を与えてきました。

現在、関内・関外のエリアには高層ビルが多く建ち始め、近代化が進んでいます。しかし、この新しい動きの中でいかにして「歴史的なコンテクストを活かすか」が、設計にとって重要な課題となるでしょう。過去の記憶を大切にしつつ、新しい空間や価値を生み出すことが、私たちの都市設計にとってのヒントになるかもしれません。

インフラや交通に注目する人もいれば、植物や水との共生を考える人もいる。商業と暮らしの交差点に関心を持つ人、建物同士のスキマや余白に可能性を感じる人……。視点が違えば、まちの見え方も変わります。

そして何より大切なのは、そうしたまちの「変化の兆し」に気づくためには、一度や二度の訪問だけでは足りないということ。実際にまちを歩いていると、図面や写真だけでは気づけなかった発見がいくつもあります。時間帯や天気、季節、人の流れによって、空間の表情も変わっていくからこそ、一度だけでなく、「何度も足を運んで観察することが大切だと感じています。

だからこそ、「授業だから」「課題だから」という枠にとらわれず、自分の足で都市を歩き、まちと対話するようなリサーチを続けていただきたいです。まちの中で感じた小さな違和感や、何気ない居心地の良さの中に、設計のヒントが隠れています。

これからのエスキスでは、自分なりのフィルターで世界を見つめ、都市に対する“答え”ではなく“問い”をかたちにしていただきたいです。

TA 勝又

 

 

トラック4

 

担当:板坂留五、古賀紀江 TA:荻尾明日海

 

本日はまず、ブックレット作成の参考例として、板坂先生自身の作品集や、ZINE、絵本などをたくさん紹介していただきました。紙の上に写真や文字をレイアウトするだけではなく、「読む体験」を意識するという話がありました。写真のスケール感、製本の仕方、折った時と開いた時の見え方、素材感など、今まで意識したことがないものばかりであったかもしれませんが、自分が街を見る時の視点をどのようにしたら伝えられるか、また自分が街を見返すための資料として、楽しく考えながら制作を進めて欲しいと思います。

学生たちは、関内エリアを歩き撮影した50枚くらいの写真と地図を机の上に広げ、何を考えながら写真を撮影してきたのか、1人ずつ発表しました。学生たちが着目した点は、建物の入り口、ファサード、階段、すき間、地面の舗装、植物など様々でした。なんとなく撮影した写真から、カメラを向けてしまった理由を考察している学生もいました。面白いと思った理由やその背景を深堀りしてみることで、新たな発見があるかもしれません。また写真を撮影する際には、画面に写る範囲や構図を意識することで、自分が目を向けていたものが伝わりやすくなると思います。

撮影した場所を地図上にプロットする際には、撮影した方向も一緒に記載すること、目印となるものを地図上にマークすることで、相手にも伝わりやすく、自分が後から見返した時にもわかりやすいと思います。

授業の後半は、学生同士がインタビュー形式で提出したものについて質問し合いました。聞くこと、聞かれることを通して、自分が興味を持ったことについて再度考えるきっかけになったのではないでしょうか。

次回からは、ブックレットの構成を考えていきます。たくさんの写真が今後どんな作品になっていくのか、とても楽しみです。

TA:荻尾

 

 

トラック5

 

担当:玉田誠、中津秀之 TA:荻尾明日海

 

今回は、各自が選定した「単位」についてのリサーチと、敷地の候補について1人ずつ発表を行いました。全員で机を囲み、他の学生の発表とそれに対してディスカッションができる環境で発表を行いました。学生の進捗は様々でしたが、実際に敷地を歩き写真を撮ってきた人、地図にプロットを行っている人、さっそく模型化してきた人など、やる気のある様子が見られました。

敷地を選んできた学生の多くが指摘されていた点で、「その場所の歴史や背景を詳しく調べること」、「その場所だけに集中せず広域に広げて見て欲しい」、という内容がありました。

その場所が持つ特性には、歴史が絡んでいることが多くあります。歴史を調べることで、その場所が抱えている長所や問題点、そして今回選定した「単位」との関係性について知るキッカケとなるかもしれません。

また、地図の範囲を広げて見ると、都市の形成プロセスや地形との関係などを捉えやすくなり、新たな発見をしやすくなります。玉田先生からも指示があった通り、次回からは選んだ場所の広範囲の地図、航空写真等を持参するようにしましょう。

さらに、選んだ「単位」についての先行研究や関係する事例を調べることも必須です。

最後に、全員のエスキスを聞けるということは、それだけ吸収できる情報も増えるということを忘れないで欲しいです。他の学生の発表に対する先生方からのアドバイスを常に自分事として捉え、欠かさずメモを取ろうと意識することで、必ず自分の力になるはずです。

毎回のエスキスの積み重ねが非常に大切です。次回以降も密度の濃いリサーチが見られることを期待しています。

TA:荻尾


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