統括担当:中津秀之
非常勤講師:高橋堅、岡路明良、針谷將史、納谷学、板坂留五
助手:村山徹、Yap Minwei
TA:荻尾明日海(M1)、勝又小太朗(M1)、薗田さくら(M1)、高橋葵衣(M1)
2024.06.17(月)3,4講時目「総合デザインスタジオ」の第9回目が行われました。
この授業は、履修者全員が5つのトラックに分かれる演習授業です。各トラックは、それぞれの担当教員により異なるテーマ課題が出題されます。
本日は授業の冒頭でトラック4の担当をしている、村山先生からレクチャーをしていただきました。
タイトルは「建築のプログラムをデザインする」です。いつ・どこで・誰が・何のために・どうやって設計が行われたかを、いくつかの街のネットワーク図を提示しながら、解説して頂きました。建築家の仕事は、依頼されたものを設計するだけでなく、自ら提案し街をデザインしていく力が求められてきています。「その街にはどんな資源があるのかを具体的に見ていき、それがどうつかえるのかを考えること、そして5w1hを考えながらプログラムを作っていくことが大事」と、建築家を目指す私たちにとって参考になるレクチャーをしていただきました。
下記各トラックの授業様子です。
<トラック1>
担当:髙橋堅
本日も、引き続き第2課題のエスキスが行われました。本日のエスキスは、学生が3つのテーブルに分かれ、それぞれの学生のエスキスを数人で聞いて一緒に考えるというスタイルで行われました。自分以外の学生のエスキスや議論の内容は、自分にも必ず当てはまることだということを忘れず、自分にとってプラスの情報を得るという意識を持って他の人の話にも耳を傾けて欲しいと思います。
前回の敷地見学を経て、敷地やプログラムが大体決まってきた学生が多いと思いますが、自分がやりたいことの熱意を伝えられている学生が少ない印象を受けました。その原因として、自分の着眼点のどこがどのように面白いのかを自分の言葉で詳しく説明できないこと、模型をつくってきていないこと、などが挙げられると思います。自分が焦点を当てた点を自分自身が理解していなければ、説明することも難しくなってしまいます。自分が見て興味を持ち、焦点を当てた対象について、常に仮説を立て、それを詳しく調べ、理解するという流れを追うことを意識し、そこから提案へとつなげていくことが大切だと先生から何度も話がありました。
また、この設計課題において対象とした敷地でうまくいっていない点を洗い出し、改善策を考えることももちろん重要ですが、悪い部分だけでなく、良い部分も必ずあるはずです。自分が設計することにより、そのポテンシャルを最大限に生かすことができるか、というのも提案において意識してほしいと思います。
次回からもエスキスが続きます。今回は模型を持参している学生が少ない印象を受けましたが、よりスタディの質を上げるためにも、模型をつくって検討することはとても大切です。まだ建物の形が決まっていなくても、敷地模型をつくり周辺の情報を可視化するということをぜひやってほしいと思います。
TA:荻尾明日海
<トラック2>
担当:納谷学、ヤップ・ミンウェイ
本日も、前回に引き続き第2課題のエスキスが行われました。前回同様、学生のほぼ全員が模型を持参しているという意欲的な様子が見られました。さらに敷地周辺のボリュームも正しい高さで立ち上がったことで、一気に空間のイメージができるようになった印象を受けました。敷地の周辺情報を正しく模型に反映させることで、その場所を理解しやすくなり、地図上で見ていた街に対して新たな見え方ができるようになります。今回模型を精度高く作ってきた学生は、先生との議論も格段に弾むようになっていました。
敷地やプログラムの選定が大体できてきて、自分が設計するもののかたちや配置の仕方の検討へと移っている学生が多く、その段階で悩んでいる学生が多い印象でした。かたちを構成する要素として、自分の計画で重要になるポイントのほかに、人の流れや視線、日当たりや風の入り方などの環境面、周囲の街への溶け込み方など、周辺情報にも様々なヒントがあるはずです。
建物の配置の仕方に悩んでいる人は、たくさん手を動かし試した過程を写真などで記録としてとっておくようにしましょう。それをすることで今後行き詰った時に立ち戻り考えられたり、それを最終的に、ダイアグラムとして使用したりすることができるかもしれません。現在ボリュームでスタディをしている人が多い印象ですが、建物内だけでなく、その間にできたスペースにも活動が生まれる可能性があります。屋根の軒の出などを意識するだけでも、その空間が一気に変化することが起こると思うので、配置計画の際に一緒に考えられると良いかもしれません。また、模型を使ってスタディを進める時、平面的に見て検討するだけでなく、実際にその場所がどう見えるかというアイレベルでの検討も、同時に行き来しながらできると良いと思います。
次回からもエスキスが続きます。たくさん手を動かし、いろいろな方法を試しながら設計を進めてみてください。
TA:荻尾明日海
<トラック3>
担当:岡路明良
今週も第2課題の設計のエスキスを引き続き行ないました。この課題では、第1課題で行ったリサーチを元に、子安エリアを対象に人付き合いの形を提案してもらいます。いかにして、子安に新しい「L I F E」を設計するのかが課題となります。
今回までの課題として、対象敷地を含んだ周辺の全体計画を考えてくることが話されていましたが、コンセプトで伸び悩む学生と手が動いており、模型や図面などイメージの伝わるものを持ってきている人、各々に差が見られれる印象でした。
設計をより具体的に進めるには、ソフトな面とハードな面の両方を行き来することが重要です。今回の授業の冒頭で村山先生から、どのようにプログラムを組んでいくのか、どのように街と接しながらコンセプトを固めていくのかを、具体的な図やダイアグラムを元に説明してくださりました。現在、自分自身の設計の整理がついていない学生は是非、積極的に言われたことに対して取り組んでいくべきだと感じました。また手が動いている学生は、より案を深めていくためにも、自身の設計を整理する手段として活用できるのではないかと感じました。
また全体的な印象として、形やプログラムが固まりつつある学生が多く、やりたいことのイメージが明確になってきている学生が多い印象でした。前回の反省から、伝えるという部分に関して模型持ってきている学生が多かったため、エスキスの内容も非常に濃い時間になっていたと思います。
周辺とのか関わりを見ていく際に、平面上でのプランニングをやろうとする意識の学生が多いですが、断面的に設計を重ねていく必要性を今回のエスキスから強く感じたと思います。
また、これから提案を裏付けていくため、更なるリサーチを行いつつ、模型と図面の両面でスタディを引き続き行っていきましょう。
TA:勝又小太朗
〈トラック4〉
担当教員:板坂瑠五、村山徹 TA:薗田さくら
今週も前回同様、先生方が二手に分かれ、手描きではない図面と、模型を持ってきてもらい、全ての学生がそれぞれの先生と一回ずつエスキスを行いました。
まだまだ敷地模型だけの人や、コンセプトが決まらない人など、全体的に進みが遅いような気がします。プログラムやコンセプトを考える中で、なかなか進まず、自分が何をやりたいのか分からなくなることもあると思いますが、悩んだときは、言語化できないけれども考えていることがあればラフでいいので沢山スケッチ描いてみたり、敷地模型を作ってみたり、スタディ模型をいくつも作ってみるとなにか発見できると思います。
皆さんに足りないことは友達を頼ることです。授業中でもよいので、エスキスの待ち時間を利用して二人でも数人でも友達と話し合い、案の共有と意見交換をしましょう。友達のエスキスを横で聞くのも良いでしょう。
次週も模型やスケッチ、図面と一緒にエスキスが進められるようにしましょう。
TA:薗田さくら
<トラック5>
担当教員:針谷將史 TA:髙橋葵衣
6月17日総合デザインスタジオ第9週の授業が行われました。トラック5では先週に引き続き、個人エスキスが行われました。
模型でのスタディーを重ねながら、場所のデザインを詰めている学生や、建築図書から設計手法を学び、対象敷地でそれを行うために試行錯誤している学生など、各学生それぞれの視点から設計に取り組んでいます。
捺染という産業を中心に、人々の暮らしに川を取り込み、防災拠点をつくる提案を行っている学生がいます。捺染が行われる場所のデザインのスタディーを繰り返し行い、そこから見える川の風景や人々を巻き込んでいくためのプログラムの提案を丁寧に進めていました。先生からは、「柱の形や位置、その建ち方など、空間にリズムが生まれる要因に構造がなっていく。だから、デザインをしていく際に、構造を考えながら行うといい。」というアドバイスをいただきました。
各エスキスを通して、「設計を行う際に、建築の主役となるものを決めることが大切」というアドバイスが多く聞かれました。柱や窓、壁といった建築を構成するエレメントの中から、何か1つ骨格となるものを決めてデザインしていくと空間に特徴があらわれます。新たな暮らしをデザインするために効果的な空間の要素は何か考える視点も持ってみましょう。
来週は、トラック5では第二課題の中間発表が行われます。これまでたくさんの視点から行ってきた設計を一度まとめ形をつくることで、客観的に自分の案を見つめなおす機会になります。最終的にどんな模型をつくりたいか、どんな風景を描きたいかも考えながらまとめると、最終までの残りの時間を有意義に使えるはずです。引き続き手を止めないで、アイディアを形に落とし込んでいきましょう!
TA:髙橋葵衣