総合デザインスタジオ

第6回 第一課題発表会

2024/05/27

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統括責任:中津秀之

専任教員:柳澤潤、黒田泰介、古賀紀江、粕谷淳司、酒谷粋将

非常勤講師:高橋堅、岡路明良、針谷將史、納谷学、板坂留五

助手:村山徹、Yap Minwei

TA:荻尾明日海(M1)、勝又小太朗(M1)、薗田さくら(M1)、高橋葵衣(M1)

 

2024年5月27日(月)3,4講時目「総合デザインスタジオ」の第6週目が行われました。

この授業は、履修者全員が5つのトラックに分かれる演習授業です。各トラックに複数人の教員が付き、それぞれ異なったテーマの課題がだされます。

本日は、第一課題の全体発表が行われました。

春学期の授業全体を通して「中間発表」を兼ねています。

下記、各トラックの授業様子です。

 

 

<トラック1>

担当:髙橋堅、酒谷粋将 

本日は、トラック合同での全体講評会が行われました。授業の最初は、トラック内でプレゼンテーションを行った後、代表者を決めました。トラック1からは、石垣君、西澤君、米山さんが代表として、全員の前で発表しました。

西澤君は、古い道と新しい道の関係性と、都市計画道路などを含む再開発地域を絡めたプログラムを設定し、モビリティと共に循環をつくり出すという、再開発後を見据えた長い目で見た提案をしました。

米山さんは、物理的な距離は近いのに、地形により引き起こされる街の分断によって場所の行き来に過大な時間を要するという問題点を見つけ出し、その場所で生活する人にとって便利に、寄り添うような架け橋のようなものをつくることを提案しました。

石垣君は、国土地理院のベクトタイル地図を用いて、街と地形の関係性を可視化しました。過去に盛土や切土が行われたことが示された地図は大変興味深く、先生方からは、あるエリアに絞って見れば、これをもとにフィールドワークをすることで何か新たな発見があるかもしれない、というアドバイスを頂きました。とてもわかりやすくマッピングされた地図は、間違いなく見る人の目を引いていたと思います。

また、発表者に対して先生方から、ここからどう建築につながっていくかを期待している、とコメントを頂きました。都市スケール的な見方ができていることに自信を持って、視野を広げる時と狭める時を使い分け、スケールを横断しながら設計を進めて欲しいと思います。

授業の最後に、髙橋先生から学生一人ひとりの成果物に対してアドバイスがありました。次回からは、設計のための個人エスキスに入ります。毎回のエスキスが有意義なものとなるよう、自分の提案を良くする議論を展開するには何をつくり持っていけばよいのか考え、準備を進めていきましょう。

TA:荻尾明日海

 

 

<トラック2>

担当:納谷学、ヤップ・ミンウェイ、黒田泰介

トラック2では、最初にトラック内でプレゼンテーションをした後、代表者を決定し、荒井さん、伊藤さん、高橋さんの計3名が全体で発表しました。

荒井さんは、東京都江戸川区を対象とし、街中に多く存在する小さな公園で、芝生が生い茂り利用されていないという状況を街の病として捉えていました。その地域の沿革を年表にきれいにまとめられていて、そこから見つけ出した区内のいくつかの大きな計画を踏まえた上で提案をしました。

高橋さんは、自身が住む横浜市栄区桂台地区を対象とし、街や建物の現状調査やインタビューを通して発見した病から、街中であまり機能していないショッピングセンターを、地域の活性化を目指し建て替えることを提案しました。

先生方から、一言で病[やまい]と言ってもそれには種類があること、治療の方向性が違うものから、基本の薬は一緒でもその人の状態により服用の仕方が変わるように、対象の街を良く診察し、適切な治療方法を考えることが重要だと話がありました。今後の設計でもその街をしっかりと観察し、対応をすることのバランスがとても大切になってきます。また、街を平面的に見るだけでなく、断面で分析し、考察することが必要だとアドバイスをいただきました。

授業の最後に担当の先生方から、みんなよい種は持っているので、今後それをどう育てていくかが大切だと話がありました。次回からの個人エスキスでは、自分が対象としたエリアの敷地模型を持参するようにとのことでした。頭の中だけで考えるのではなく、実際に手を動かしながら考え、形をつくってみましょう。

TA:荻尾明日海

 

 

<トラック3>

担当教員:岡路明良、粕谷淳司

2024年5月28日、第6週目となる本日の授業は、第1課題の全体発表を行いました。

子安のグループで行ったエリアリサーチと並行して進めていた個人テーマの発表を行いました。

トラック3からは、井村くん、本田さん、宮沢くんが発表をしました。

講評として、子安エリアのみをリサーチするのではなく、周辺の環境を絡めたエリアリサーチも進めていくと、より密度の濃いリサーチ、設計になっていくのではないか。また子安のような状況に陥ってしまっているエリアは他にもあり、事例として他の環境と照らし合わせながら子安を相対的に見るという視点も、これからは必要になっていく。各トラックの先生からアドバイスをいただきました。

そして、今回の全体発表を通して、他のトラックがどのような発表をしているのか、どのようなプレゼンテーションをしているのか、各々に足りていないものが何かを改めて考える機会になったと思います。他のトラックがやっていたこと、どんな考えを持っていたのかを振り返り、良い技術は参考にして自分の設計に活かして欲しいと思います。また今後もリサーチを繰り返しながら、設計に励んでほしいと思います。

この後、トラックごとに分かれて、次回以降の授業の説明がありました。

リサーチ課題から本格的に設計課題のフェーズへと、次回からエスキスのチェックが始まります。

設計のテーマは「ヒューマンコンタクト・人づきあいのカタチ」です。子安におけるL I F Eとは何なのだろうか、L I F Eに必要なものは何かを設計課題にぶつけてもらいます。「これからのまちの姿」を提案していきます。

全体的に今回のエリアリリサーチの課題では、まだまだ、子安の魅力がなんなのかが深堀できていないと思います。自分の見えている子安の世界観というものを大事に次回のエスキスに表現して欲しいと思います。

次回までの課題として、敷地設定とコンセプトを考えてくることが指示されました。これからもグループ課題で培った熱量をさらに上げて、取り組みましょう。

T A:勝又

 

 

〈トラック4〉

担当教員:板坂瑠五、村山徹、古賀紀江 TA:薗田さくら

第6週目の授業が行われました。本日は全トラック合同の全体講評会の日でした。トラック4は他のトラックとは異なり、代表を決めるのではなく、13人全員のブックレットを先生方に見ていただき、講評をもらう方法で発表を行いました。

第一課題は街の写真を沢山撮影して身体化させることを目的とし、最後にはそれらの写真でブックレットを作成しました。その結果、それぞれの面白い個性が作品に表れ、何一つ同じものがなく、楽しく取り組んでいたことが伝わる作品が完成しました。

全体講評では、楽しんで取り組んだ姿が想像できると高評価を頂いた反面、ヤップ先生からの第一課題を通して何を学ぶことができたのか、という質問に対し、まだ言葉で答えられない学生もいたと思います。この課題を通してそれぞれ学びはあったと思います。それらを言葉に表し、学びと気づきを次週は発表してもらいます。

全体講評で、酒谷先生から「同級生同士で話し合うこと」を大切にして欲しいとお話がありました。課題を進めていくと必ず一度は躓くことがあります。卒業設計を控えている4年生は特に一人で抱え込まず、友達や先輩に相談してみましょう。気付かなかったことを教えてくれるはずです。また人に話すことは自分の考えをまとめる意味もあります。アウトプットしながら設計を進めましょう。

本日で第1課題は終了となり、次回からは第二課題が始まります。第1課題はブックレットの作成でしたが、第2課題では設計が始まります。課題の内容は「都合」を内在する建築及び空間の設計です。次週の提出物は、①ブックレットを作成して得た学び、気づきを言語化、②設計が始まるので、第1課題で対象とした敷地を中心に敷地を選定。それらをA1版のパネルにまとめ発表してもらいます。第2課題も「楽しい」という気持ちを忘れず、取り組んでいきましょう。  

                            TA:薗田さくら

 

 

<トラック5>

担当教員:針谷將史 柳澤潤  TA:髙橋葵衣

5月20日(月)第5週目の授業が行われました。トラック5では先週に引き続き、「スモール・インフラストラクチャー」について各自がリサーチした内容を張り出し、発表しました。

今回の授業では、プレゼンボードだけでなく模型を持ってきて発表している学生が多く見られました。手を動かしながら考えることはとても大切なことだと思いますが、一方で、そのスモールインフラがどのように街を、地域を変えていくのか、何のために必要なのかの説明が足りない学生が多く見られました。

第一課題では、1)設計する敷地の説明、2)自分の考えるスモールインフラとは、3)なぜその場所にそのスモールインフラが必要なのか、この三点が求められています。「スモールインフラ」として扱うテーマは、各学生独自の視点で捉えることが出来ています。それを敷地が持つ課題と結びつけること、これからの未来の暮らしをどう変えていくのかという点をもう少し丁寧に考えていきましょう。

全体の発表を通して、先生方から「今回の課題は大きな建築課題ではない。足元レベルで見ていくことが大切。遠景で示すのではなく、近景を見せて欲しい」、「地域の固有性と継続性を、スモールインフラをきっかけに再発見することが出来る。対立するモノの間を取っていくのではなく、その先の新しいかたちを提示して欲しい」というご指摘をいただきました。さらに、それぞれの発表を受けて「ネットワーク」という言葉が先生方から繰り返し使われていました。地域に新しいネットワークを創るという視点を持つと、スモールインフラによって変わっていく地域を想像しやすくなるのではないでしょうか。

自分の考えを他者に伝えるとき、写真・地図のレイアウトの仕方、イメージを伝えるための表現がとても大切になります。これまで調べ、考えてきた内容をただ羅列するだけではなく、伝えるためのレイアウトを心がけましょう。

来週はトラック1から5までの学生が集まり、各トラックの代表者による発表が行われます。これまでのリサーチを分かりやすく、楽しくまとめ、他のトラックの学生や先生方に、それぞれが想像する未来の暮らしが伝わるような発表を期待します。

                                     TA:髙橋葵衣


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