総合デザインスタジオ

第4回 リサーチ課題3

2024/05/14

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担当:中津秀之

専任教員:柳澤潤、黒田泰介、古賀紀江、粕谷淳司、酒谷粋将

非常勤講師:高橋堅、岡路明良、針谷將史、納谷学、板坂留五

助手:村山徹、Yap Minwei

TA:荻尾明日海(M1)、勝又小太朗(M1)、薗田さくら(M1)、高橋葵衣(M1)

 

2024.05.14(月)3,4講時目「総合デザインスタジオ」の第4回目が行われました。

この授業は、履修者全員が5つのトラックに分かれる演習授業です。各トラックに複数人の教員が付き、それぞれ異なったテーマの課題がだされます。

本日は、授業の冒頭で板坂先生から全トラックの学生に向けたレクチャーをして頂きました。

実際に板坂先生が、学生だったときにどのように建築を設計していったのかを事細かく知ることができる貴重な時間だったと思います。自分が興味を持ったことを、どのように調べていくのか、そこから自分自身の設計に繋げていく難しさなど実際に経験したことをお話ししていただきました。学生の皆さんはぜひ、板坂先生のお話を自分自身に置き換えて、これからの時間を自分なりのやり方、設計の手法をみつける貴重な時間にしてもらいたいと思います。

下記各トラックの授業様子です。

 

 

<トラック1>

担当:髙橋堅、酒谷粋将 

 

トラック1では、対象敷地である金沢八景駅の地図を中心に、個人でのリサーチを発表していました。発表資料は、店やバス停、道の種類などの位置を地図にマッピングし、実際に敷地を歩き撮った写真を並べる、昔の地図と今の地図を出して見比べてみるなど人により様々でした。

多くの学生に共通していたのは、調べたことがビジュアル化されていないということでした。せっかくリサーチをしたのに、それを伝えられないのはとても残念なことです。説明したい内容と地図のスケール感を合わせることや、伝えるために適切な表現の仕方などを常に意識しましょう。地図を作成する際に情報をより分かりやすく浮かび上がらせるためには、色を変えるのが良いのか、図形や線の太さを変えるのが良いのかなど、伝えたい情報に応じて、手法を選択することが大切です。

また、ただ目的を持たずに調べるのではなく、どんな情報があれば嬉しいか、欲しい情報に目星を付け、調査を進めるのも良いと思います。

次回はグループ内講評です。先生方からプレゼンテーションの仕方について、ストーリー立てて説明すること、グラフィックを工夫することの大きく2つの話がありました。問題点の発見から解決に至るまで、その話の段取りを考えることは、自分の考えを整理することにもつながるはずです。プレゼン資料の制作では常に見る側の立場に立ち、客観的に見ることを心がけ作業を進めましょう。

TA:荻尾明日海

 

 

<トラック2>

担当:納谷学、ヤップ・ミンウェイ、黒田泰介

 

トラック2では、自分が対象敷地とする場所のリサーチをA1の紙1枚以上にまとめて発表しました。

学生の発表の中で、問題意識や目的がはっきりしている人とそうでない人にかなり差があったように感じました。発表を聞いていて、私的なことから入る学生が多い印象でしたが、課題文にあるように「まちを診る」ということが大切です。どの場所でもできることではなく、その場所でしかできないことに焦点を当てる必要があります。自分がやりたいことがある場合、都合の良い敷地を選定するのではなく、うまくいっていない場所を探してそれを仕掛けること、自分が馴染み深い街を選んだ場合は、先入観が強くなってしまうことが多いので、直接現地の人に話を聞くなどして改めて客観的な立場から考えてみることなど、街が抱えている病気をどう見つけ出し、治していくかを考えましょう。病気を見つけた人は、その病気にかかっている対象、与えている対象について詳しくリサーチをしてみると、より深くその現状を理解でき、治療へとつなげていくことができるはずです。

また、プレゼン資料の見せ方について、現地で撮った写真を並べたり、文章だけで説明したりするだけでは伝わらないものがありますが、出力した地図にマッピングや書き込みをすることで、その街を知らない相手でも、一気に想像を膨らませることができるようになります。

次回はトラック内講評です。問題意識がまだモヤモヤとしている学生は、リサーチの方法を今一度見直し、次回それを明確にしてきましょう。

TA:荻尾明日海

 

 

<トラック3>

担当:岡路明良、粕谷淳司 

第4週目となる本日の授業では、前回に引き続きリサーチしたこと、そして、更に自分の興味を持った個人テーマについて3つのグループに分かれて発表しました。

それぞれ、インフラ、歴史、環境、オブジェクトの4つの観点からリサーチを行いそれぞれの学生が調べたことについて、情報を全員で共有をしました。

前回、先生方に指摘されたポイントや、自分なりに考察を展開したポイントなどをまとめて発表しました。前回の授業から3週間という長い期間が空いてしまいましたが、子安を更に知るための良い期間になったのではないかと思います。

子安のそれぞれのテーマで、子安の特徴、良いところ、問題点などが、着々と明確になっていると思います。しかし自分たちの伝えたいことや、やりたいことが図表で表現しきれていないことや、考察がまだまだ足りない部分など、それぞれのグループでの課題が今回の授業を通して、より明確になったと思います。調べたことをプレゼンテーションする力を身につけていくことも重要なことです。子安のリサーチを進めていくと共に、人に「伝える」ということも意識して取り組んで欲しいと思います。

このトラックでは、常に問題意識として「L I F E」という大きなテーマを掲げ、子安では何ができるのかを、リサーチから個人のテーマに繋げていくことも課題となっています。個人テーマにおいては、それぞれが前回からより良い方向にブラッシュアップできていたと思います。自分たちが行っているリサーチだけでなく、他のグループが行っているリサーチも活かし、継続して自分のテーマに磨きをかけて欲しいと思います。

次回の授業までに、今回指摘されたポイントを整理しグループでのリサーチを進めること、個々でも作品をより良くするためには何が必要なのかを、今一度考え直し、次回の授業に繋げて欲しいと思います。

TA:勝又小太朗

 

 

〈トラック4〉

担当教員:板坂瑠五、村山徹、古賀紀江 TA:薗田さくら

 

ゴールデンウイークを挟んでの4週目の授業でした。今まで撮ってきた街の写真をブックレットにまとめてくることが宿題として出されていたので、今週は作成してきたブックレットについて発表してもらいました。

発表の形式は、皆で輪になり、まず、一人一人の作品を15秒間回し見をしました。そして4分程自分の作品を説明し、先生方から講評をいただくという形式で授業を進めました。サイズや形、レイアウト、ブックレットの綴じ方などそれぞれ異なり、個性がかなり出ていたことが面白く、皆友達の作品に興味を持って話し合っているなど、楽しくしている姿が見受けられました。

もっと作り方やどのような考えでまとめているのかを友達と共有しあうことや、引き続き様々なジャンルのブックレットを見てデザインを学び、アイディアの引き出しを増してもらいたいです。ひとつの方法だけでなく、様々な方法を試して自分に合ったデザインやレイアウトを見つけてほしいです。ブックレットを見せる対象は自分だけでなく、他の人に見せるものなので、どう人に自分の見ている世界を伝えるか、どのように感じてもらいたいか、想像しながら、「伝える」ということを意識し作成していきましょう。タイトルのつけ方も重要になってくるので自分が何を伝えたいかがわかるタイトルを考えましょう。

次週はブックレットのブラッシュアップを続けてもらいます。サイズやテクスチャー、読む間隔なども考え、たくさんスタディをして設計を繰り返すことが大切です。表紙、カバー、タイトル、コンセプトを必ず付け、最後にインデックスを入れることも忘れないでください。

それらを意識して、来週はグループ内講評ですので、ワクワクするような、楽しい気分になれるブックレットを作成して欲しいです。

TA:薗田さくら

 

 

<トラック5>

担当教員:針谷將史 柳澤潤  TA:髙橋葵衣

 

5月13日(月)総合デザインスタジオ第4回目の授業が行われました。トラック5では先週に引き続き、「スモール・インフラストラクチャー」について各自がリサーチした内容を張り出し、発表しました。

発表内容をいくつか紹介します。

地域の中にある街区公園を「周りに立つ家の延長にある庭のような場所」と捉え直し、そこから生まれる地域のコミュニティを考える案。先生方からは、街区公園の定義をひとくくりに変えてしまうのではなく、その場その場での読み解きがあるといい。発想を都市につなげて、公園の都市性みたいなものを考えられると良いというコメントをいただきました。

自身の出身地である宮古島をリサーチ対象に、現在島を成り立たせているダムや火力・水力発電所などの大きなインフラから、もっと島民が身近に感じられるインフラを、暮らしに根ざしてデザインしていこうとする案。先生方からは、インフラをさらに小さなインフラに落とし込むのは面白い再定義だと思う。どう形になるかは想像ができないけれど、面白いものができそうというコメントをいただきました。

今週は、模型をもってきて発表する学生の姿も見られました。形にすることを念頭においたリサーチができていることはとても良いことだと思います。

来週はグループ内講評が行われます。第一課題のゴールは、テーマを決めることのほかに、どこで、誰のために設計するのかも問われています。ここまで各自とても面白いテーマを見つけているので、「未来の暮らしを考える」ためにもう一歩踏み込んだところまで発想を伸ばしていきましょう。

TA:髙橋葵衣


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