すまいデザインスタジオ1

第4回「ちいさな空間」の発表

2024/05/07

SHARE

クリップボードに
コピーしました

担当:粕谷淳司、小形徹、三浦秀彦

 

すまいデザインスタジオ1、第4回目の授業です。本日は、「ちいさな空間」の発表を行いました。各グループで発表の準備作業をしてから一度教室に集合し、そのあと全員で作品を見て回りました。当日はあいにくの天気でしたが、全8グループどの作品もとても魅力的で楽しい発表でした。

南門を選んだグループは、門のすぐ近くのフェンス越しに生えていた竹や転がっていた石に目を付け、コンクリートから生えているように見える竹とその周りを浮かぶ石が、不思議な空間を生み出していました。この日は雨でしたが、浮かぶ石や葉っぱ、そして空間に入り込む人が水たまりに反射することをプラスにとらえたことはすごくよかったと思います。使った素材も無駄なものがなく、周りの木やフェンスまで、自分達のつくった空間に取り込めていたように感じました。

図書館の床下付近を選んだグループは、チャペルと図書館の間に生えている木々を利用して蛍光ピンクのテープを張り巡らせ、図書館のテラス下の空間へと誘導していました。テラス下の空間の土とそこに置かれたシルバーのアルミホイルやミラー、そして置かれたレジャーシートに座った時に垣間見えるピンク色のテープといったものたちが、綺麗な対比を生んでいました。この場所に気付く人と気づかない人がいること、それを良いとしていたことが素敵でした。

茶室手前の広場を選んだグループは、芝生の上に靴を置いていました。一見靴に見える置かれたものたちの中には、軍手や石、木なども紛れていてユーモアが感じられました。この場所を歩きたいと思わせる工夫がされていて、実際にこの空間に人が入り込んだときに、見えない人の気配が感じられ、置かれた靴たちのもとに人が集まった時、その靴たちはまるでその輪の中に入り賑やかにお話ししているようでした。

5号館外階段を選んだグループは、廃材置き場から持ってきた大きな木材と近くにあった石を使い、階段の段差や手すり、幅などを目一杯利用し空間を構成していました。階段は本来、上の階まで上るというただそれだけの機能的なものですが、空間の体験を通して普段しない動きをしたり、普段触れない場所に触ったり、普段気にしない場所に視線を送ったりと、この空間を体験した人たちに新たな気付きを与えていました。

SCC4階を選んだグループは、その場所にある様々な形のベンチの向きを変えたりひっくり返したりし、広い範囲で空間を構成していました。普段ベンチの配置された空間に比べ、一人一人が落ち着くような空間、友達と会話が生まれそうな空間など、何の変哲もなかった場所がすごく良い空間に変化していました。普段足以外で触れることが滅多にないであろう床に、何のためらいもなく座ったり寝転んだりすることを誘発していたことが魅力的でした。

Foresight10階を選んだグループは、廃材置き場から持ってきたバリエーション豊富な材料を使用し空間を構成していました。紙の貼られた凹凸のある壁や緩衝材での誘導、景色を眺めるための机的なもの、張られた青色のテープなど、他のグループと比べたくさんの要素があったものの、それらがうまくまとめられていました。また耳に紙コップを当てると聞こえる音により、今いる世界が一変するような体験も非常に面白かったです。

3号館5階の階段を選んだグループは、階段の幅と手すりを利用し毛糸を張り巡らせ、光や視線が透けるような屋根をかけていました。この空間を制作したことで、トップライト、下部分の曇りガラス、絨毯のような柔らかい床、という意外と落ち着く空間の要素をこの場所が持っていたことに気づけたのは非常に素晴らしいことなので、プラスにとらえてほしいと思います。空間の色合いもとても綺麗でした。

5号館エレベーター付近を選んだグループは、エレベーターの中と3階で降りてすぐの場所に緑のスズランテープを使用し製作を行っていました。私たち以外の、授業を知らない学生や先生方が普段通りに使用する中での制作でしたが、利用した人は全員、普段とは異なる動きをしたり、見ない場所に視線を送ったりと、初めてエレベーターという空間を意識したのではないでしょうか。人にとても近い空間で、人が動くことによりテープがゆらゆら揺れる影はまるで生きもののようでした。

最後に、次回の授業までに作ってくるようにと指示があった「ドキュメンテーション」について、参考として三浦先生が制作したものを紹介していただきました。見たことがないような発想や紙の閉じ方の構成に、学生たちは興味津々でした。ただ綺麗にレイアウトされたものではなく、考え過ぎずに自分の記憶や頭の中に思い描いたことを思う存分に吐き出してみて、自分が面白いと思えるものをつくってみましょう。ドキュメンテーションの制作を通して、自分自身がもう一度「ちいさな空間」の制作を振り返り、理解することを意識し取り組んでみてください。

TA:荻尾明日海


関連記事