総合デザインスタジオ

第3回 リサーチ課題2

2024/04/22

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当:担当:中津秀之

専任教員:柳澤潤、黒田泰介、古賀紀江、粕谷淳司、酒谷粋将

非常勤講師:高橋堅、岡路明良、針谷將史、納谷学、板坂留五

助手:村山徹、Yap Minwei

TA:荻尾明日海(M1)、勝又小太朗(M1)、薗田さくら(M1)、高橋葵衣(M1)

 

2024.04.22(月)3,4講時目「総合デザインスタジオ」の第3回目が行われました。

この授業は、履修者全員が5つのトラックに分かれる演習授業です。各トラックに複数人の教員が付き、それぞれ異なったテーマの課題がだされます。

本日は、授業の冒頭で針谷先生から全トラックの学生に向けたレクチャーをして頂きました。

実際に針谷先生が設計された「安部邸」を事例に、どのようなことを考えながら設計しているのか、設計のプロセスを紹介頂きました。

住宅や家族における「公共性」の考え方、構造を手掛かりとして空間を設計していく過程など、学生にとって、とても参考になる、興味深いレクチャーだったのではないでしょうか。

 

<トラック1>

 

担当:髙橋堅、酒谷粋将 

トラック1では、前半は先週に引き続き「地価マップ」の発表をグループごとに行い、後半は個人エスキスを行いました。

地価マップの発表の際に先生方から、マップの作成に重要な点について大きく3つ話がありました。

①近くからでなく、遠くからパッと見て分かるように

パソコン上でマップの作成をしていると、どうしても近くでは見分けのついていた色が実は見分けづらいということが起きます。パソコンのデータ画面から距離を置いて見たり、試しに印刷してみたりすると良いでしょう。

②パラメーターを少なく

変数は多ければ良いというわけではありませんが、少な過ぎてものっぺりとした読み取り辛いものになってしまうので、バランスを常に意識しましょう。

③できた地図を自分で説明できるように

地価マップを作成する際は特に、自分で理解をしないまま進めても何の意味もありません。あいまいな部分を無くし、ピンポイントで示すことを心がけましょう。できたマップを使ってこの先の作業を進めるためにも、自分の言葉で説明するということは必須です。

今回、先生方から多くのアドバイスをもらったと思います。次回の授業までに、今日のアドバイスをもとにマップの解像度を上げ、課題を効果的に進められるようにしましょう。

また、個人エスキスでは、先生方との会話の中でその場所のことを詳しく説明できている学生が何名かいたので、街を熱心に歩いたことが伝わってよかったです。何も考えずに街を歩くのではなく、何か仮説を持つことが大切です。その際、現在作成している「地価マップ」を持ちながら歩くことで、新たな発見に出会えるかもしれません。頑張ってください!

TA:荻尾明日海

 

 

<トラック2>

 

担当:納谷学、ヤップ・ミンウェイ、黒田泰介

トラック2では、学生たちが一人ひとり事例調査の発表を行いました。学生たちはそれぞれ、調べた事例の図面や写真、調べて気づいたことや考察などをA1サイズの紙にレイアウトし、まとめていました。

①敷地はぼんやり決まっているが、やりたいことがまだ見つからない人、②やりたいことはあるが、敷地選定がまだの人、大きくこの2つに分かれていたように感じました。①の場合、自分の地元や現在その街に住んでいる人が多い印象でしたが、知っている気になっているその街の調査を深く掘り下げることで、その街が抱えている「病気」が見つかるはずです。②の場合、自分がやりたいことが実現されている事例を、1つではなくいくつか調べてみることで、それぞれの場所に共通する特徴が見えてきて、それが敷地の選定につながると思います。

次回の授業は3週間後になります。それまでの時間を大切にし、次回、自分自身の考えを説得するための情報密度の濃いリサーチがたくさん見られることを期待しています。また、先生方からプレゼン資料の見せ方について話がありました。文字の大きさやレイアウトを工夫し見やすくすること、説明するのに適切な図やイラストを用いること、事例の説明は元ある資料のコピー&ペーストではなく自分の言葉で説明することなど、常に相手に「伝える」ことを意識しながら取り組んで下さい。

TA:荻尾明日海

 

 

<トラック3>

 

担当:岡路明良、粕谷淳司 

第3週目となる本日の授業では、前回のエリアサーベイでわかったことや、更に調べたこと、そして、自分が興味を持った個人テーマについて3つのグループに分かれて発表をしました。

それぞれ、「インフラ」、「歴史」、「環境」、「オブジェクト」の4つの観点からリサーチを行い、それぞれが調べたことを共有しました。

 

テーマごとに、様々な角度からリサーチを行うことで対象敷地である子安への理解が深まったと思います。また、グループごとにテーマを絞って取り組んでいますが、他のテーマと情報が重なる部分があり、他のグループが行ったリサーチを自分たちのリサーチに活かすとともに、図表の見せ方や線の色分け、地図のレイヤー分けなど、今回指摘されたポイントを意識して、次回の発表に臨んでいただきたいです。

また今回は、グループ発表とは別に、個人テーマの発表も行いました。子安を調べて、興味を持ったことや社会的な背景から子安と結びついたテーマなど様々な視点からのテーマが揃いました。今回出てきたテーマを追求するために、リサーチを重ねるとともに、考え、深掘りをして自分の設計対象である建物や街の設計に育てていただきたいと思います。

 

このトラックのテーマである「L I F E」とはどのようなものなのか、今回得られた情報だけでは、まだまだわかりません。子安に今あるものを全部壊してしまう、無くしてしまうという考えではなく、それをどう活かしていくのか。また身近なものや現象について、問題意識を常に持ち続けることが重要だというコメントを岡路先生からいただきました。作品一つ一つのクオリティをさらに上げていただきたいと思います。

次回の授業までに3週間という長い時間が空きますが、今回指摘されたことだけでなく、クオリティを上げるためには何が必要なのかをもう一度考え直し、この時間を有意義に使っていただきたいです。

TA:勝又小太朗

 

 

〈トラック4〉

 

担当教員:板坂留五、村山徹、古賀紀江 TA:薗田さくら

今週は、前回からブラッシュアップしてきた調査の成果を発表し、先生方から講評をいただきました。

街をもう一度歩いて前回より写真の枚数が多くなっている人や、写真をレイアウトして印刷してきた人がいて、授業に真面目に取り組んでいる姿が見受けられました。

ブックレットを人に見せる時は、一枚一枚説明をすることは出来ない為、何を見て欲しいのか、どう想像させたいのかを写真だけで伝えなくてはなりません。

そこで重要になってくるのは写真の撮り方だけでなく、レイアウトの方法です。写真の配置やサイズなど方法は沢山ありますが、人それぞれ伝えるものや方法が違うので、自分の伝えたいものが一番伝わる方法を見つけられるように、自分の引き出しを広げる為にもさまざまなジャンルのブックレットを探して参考にしましょう。

2回目のエスキスが終わり、少しずつ方向性が決まりつつある人と、まだ漠然としている人がいると思います。板坂先生が仰っていた通り、このスタジオは卒業設計を控えている皆さんが最後にチャレンジ出来る授業です。この授業では自分の可能性を広げる為にも色々チャレンジしてみて欲しいです。 リサーチ方法や、表現方法、まだやった事がない方法にチャレンジしてみる、そのような時間にしてもらいたいです。

地図の作り方ですが、ただ地図を印刷してくるのではなく、わかりやすい地図を自分で作ってみる。どの場所でどの写真を撮ったのかを地図を見てすぐに把握出来るようにして、「人に伝える」という事を意識して作って下さい。

来週はこれまでに引き続き、素材集めをしてもらうこととテキストを考えること、それに加えて撮ってきた写真を束ねる事をしてもらいます。写真を撮って並び替えるだけで終わっている人が多いので、とりあえず束ねてみる事をして下さい。どのように最終的なブックレットをまとめるべきか、表現方法を色々と考えながら課題を進めていきましょう。

TA:薗田さくら

 

 

<トラック5>

 

担当教員:針谷將史 柳澤潤 TA:髙橋葵衣

トラック5では、先週に引き続き、「スモール・インフラ・ストラクチャー」について各自がリサーチした内容を張り出し、発表しました。

すこし視点が細か過ぎるという前回の先生方の指摘を踏まえ、今回はもっと視野を広げたリサーチが多く見られました。また、物体そのものだけでなくそのシステムまで調べている学生や、その物体によって引き起こされる活動をリサーチしている学生など、スモールインフラを様々な視点から捉えようとしており、各学生悩みながらも面白いリサーチができていたのではないでしょうか。

「駅」という大きなインフラをリサーチ対象にし、そこから人の動きや待ち方に注目し、人の「居方」をスモールインフラとして捉えようとしている学生がいました。先生方からは、今の駅空間にある歪みを面白がって見てみるといい。空間そのものや仕組みなど根本的なものを考えることで、新しい駅の在り方が見つかるのではないか。という意見をいただきました。

次の授業は3週間後に行われます。これまではスモールインフラを捉えるためのリサーチでしたが、今後は、そのリサーチに加え、各学生が見つけてきたスモールインフラをどのような形に変換していくのか、どのようなシステムで運営するのかなど、ハード面とソフト面のデザインも同時に求められます。リサーチしたデータをまとめるだけでなく、その先の未来の暮らしまで想像を働かせていきましょう!                                      

TA:高橋葵衣


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