担当:担当:中津秀之
専任教員:柳澤潤、黒田泰介、古賀紀江、粕谷淳司、酒谷粋将
非常勤講師:高橋堅、岡路明良、針谷將史、納谷学、板坂留五
助手:村山徹、Yap Minwei
TA:荻尾明日海(M1)、勝又小太朗(M1)、園田さくら(M1)、高橋葵衣(M1)
2024.04.08(月) 「総合デザインスタジオ」の第1回目が行われました。
この授業では1〜5までの5つのトラックに分かれて行われる授業です。各トラックに数人の教員が付き、それぞれ異なったテーマの課題が出されます。下記各トラックの授業紹介になります。
<トラック1>
担当:髙橋堅、酒谷粋将 TA:荻尾明日海
トラック1では「アーバン・トポグラフィーと他者」という課題が出題されました。
この課題では、アーバン・トポグラフィーと他者の関係について分析や考察を行い、都市的/建築的介入により、包摂的に敷地の問題点の解決や新たな可能性を引き出すことが目的とされています。
第1課題では、リサーチを通して、都市の地形に他者である「ヒト・モノ・コト」が重ね合わせられた状況を把握し、その状況にどのような意味や影響が発生しているかを考察、そして敷地の可能性や問題点を探求することが求められます。
担当の高橋先生からは、バリエーションに富んだ様々な地図の解説をしていただきました。私たちが日々目にする地図とは少し異なるビジュアルの地図は、非常に興味深いものでした。
リサーチの対象エリアは金沢八景駅周辺約1km四方の範囲です。大学からも近く、通学で駅を使っている人も多いと思います。天候の違う日に訪れたり、帰りに別の道から帰ってみたりなど、常に考えながら歩くことを意識すると、このまちに対して新たな印象を得られるかもしれません。
次回は、対象エリアについて興味を持った点を「地価マップ」としてまとめてくるようにと指示がありました。高橋先生から、地図に少しの「見立て」を与えると、見え方が変わるという話がありました。例えばまち中での気付きを地図上にプロットしてみると、目には見えない、都市を構成する仕組みが浮かび上がってくるかもしれません。客観的な敷地分析だけにとどまらず、自分の中に沸いた感情、気付きなどの主観的なものも、まちを紐解くための重大なヒントになると思います。次回、たくさんの面白い地図が見られることを楽しみにしています。
TA:荻尾
<トラック2>
担当:納谷学、ヤップ・ミンウェイ、黒田泰介 TA:荻尾明日海
トラック2では、第1課題として、「まちを診る」という課題が出題されました。
この課題では、これから社会に出て建築に携わる私たちが「まち医者」として、良いところ悪いところを注意深く観察し、診断する目を養う思考能力を高めことが目的とされています。
先生方から、「まちおこし」に関する事例をいくつか紹介していただきました。
第1課題では、病気に罹ったまちと「どのように関係していくか?」を考えます。まず、これらの事例の中から選んだものについて、現在のまちの病気(問題)や健康的で良いところ(維持あるいは発展させたいもの)を探し出すという作業を行い、それを踏まえた上で自分が対象とするまちの調査・分析・考察も行い、第2課題である「まちを治す」ことへとつなげていきます。
先生方から、これからエスキスを進めていく際に、リサーチで見つけた資料をそのまま持ってくるのではなく、地図へのマーキングや見た風景のスケッチなどを盛り込み、さらに自分でまとめてくるようにと話がありました。自分のオリジナルの資料であるほど、自分でも理解を深められ、かつ相手への説得力も増すことを常に意識しながら取り組みましょう。
次回は、神奈川県愛川町にある「春日台センターセンター」を実際に見学しに行きます。事前にこの場所に関する資料に目を通し予備知識を頭に入れ、現地でどういった箇所に目を向けたらいいか、考えながら有意義な見学ができると良いと思います。
TA:荻尾
<トラック3>
担当教員:岡路明良、粕谷淳司 T A:勝又小太朗
2024年4月8日(月)第一回目の授業が行われました。トラック3ではスタジオ『「L I F E」 -つながる-これからの街』と題して、「住うこと、生きること、生活すること」など、私たちの身の周りで起こるすべてのことに対して、問いかけると共にそれを研究対象とします。そして、ヒューマン・コンタクト(人付き合いのかたち)をテーマとして掲げ、現代に起こりうる問題と向き合い、私たちには今何ができるのか、人々の生活に何が必要なのかを提案して行きます。
日本に限らず、世界中では、数々の問題が絶え間なく起こり、多元的であり複雑に絡み合っています。そうした問題の中、生きているということを感じ取り、エリアリサーチの対象である子安地区を対象に、今、建築には何ができるのかという大きな問いに対してグローバルに、そしてローカルに考えを展開していくことを目的としています。
トラック配属が決まった後に、このトラックの担当してくださる、岡路先生と粕谷先生から、課題についてのレクチャーがありました。
今一度、ヒト・モノ・時間・空間・情報これらのつながり方関係性を再考することにより、これからのまちの姿というものを構築します。これまで培った知識を存分に発揮するとともに、新しい建築に対する視野を「L I F E」を通して広げていけるようにしてきましょう。
またこの総合デザインスタジオは長い目で見ると卒業設計に結びつく、とても課題となります。トラック3では、プログラムや規模、敷地設定を各自で行います。エリアリサーチから読み取った各自のテーマや感性を卒業設計に結びつけことも意識して取り組んできます。
前半はグループに分かれ子安のリサーチを行い、グループごとに発表します。
楽しみながら、積極的に課題と向き合い取り組んでもらいたいと思います。
TA:勝又
<トラック4>
担当教員 板坂留五、村山徹、古賀紀江 TA:薗田さくら
テーマ:「都合」を考える
トラック4では前半、街の中の小さなスケールにカメラを向け、対象敷地の関内エリアを、第二週までに散歩しながら、街の中で気になったものを写真として記録します。
第一課題では最終的にそれらをブックレットとしてまとめます。
街は大きなものだけれども、小さなスケールで街を観察すると小さなモノで構成されていることに気づくことが出来ると思います。狭い範囲だけでもかなりの情報を得られるのではないでしょうか。ある程度の枚数がないと比較が出来ないと思うので、一日に限らず、数回歩いて観察すると良いと思います。自分の好きなスケールに気づけたり、素材や色、かたちなど、自分が何に興味を持ってカメラを構えていたのか、第二週目の授業では、ほかの人の写真と比較し、同じ場所でも見ていたものは違っていたなど、自分との違いにも気づくことで自分を知ることにも繋がると思います。
設計を進めていく中で、手が止まってしまいなかなか進まない時が来ると思います。私はその時、過去に書いた文字やスケッチを見返したり、友達や先輩方に相談したりするなど、一息つく時間をつくります。そうすることで見失っていた考えやテーマを思い出し、また一歩進むことが出来ると思います。今回はふと立ち戻る拠り所として「ブックレット」も利用しながら、過去と今の自分とを行き来し、楽しく設計が出来たら良いなと感じます。
第二週から皆さんがどのような視点で街を見て、写真を撮ってきたのかを共有するのが楽しみです。
TA:薗田
<トラック5>
担当教員:針谷將史、柳澤潤 TA:髙橋葵衣
トラック5では「スモール・インフラ・ストラクチャー」~小さなインフラから都市と建築を考える~と題して、「小さなインフラ」を内包する都市や建築空間の構想から、社会的な問題や自らのテーマを掘り下げ、私たちの未来の暮らしを考えることを目的とします。
「スモールインフラ」とは何でしょうか。
トラックごとに分かれた後、まずはそれぞれが考えるスモールインフラについて意見を出し合い、イメージを共有し合いました。
スマートフォン、コンビニエンスストア、道端のベンチ、音楽、手紙、友達に会える地元の場所、様々なものが挙げられました。インフラというと、ダムや道路、公共交通機関のような大きな空間がイメージされますが、身近に存在し私たちの生活に寄り添ってくれているものがスモールインフラになり得そうです。
大きなインフラの発展と急速な整備により私たちの生活は支えられてきましたが、災害発生時にインフラが機能しなくなると私たちの生活も脅かされるという危うさも持ちます。身近に存在する、コトやモノをスモールインフラと捉え直し、これからの暮らしを考えることが、より強く魅了的な未来の暮らしにつながるはずです。
トラック5ではリサーチ対象エリア、プログラムともに指定はありません。まずは、街に出て、歩き、様々な視点からスモールインフラ、またはスモールインフラになりそうな題材を探すことからこの課題は始まります。身の回りのモノやコト、場所などを面白がって見てみましょう!これまで見ていたものとは違う、新たな視点を獲得できるはずです。
新しい切り口で設計を考えるこのトラックでは、自分自身もワクワクしながらリサーチ・設計に取り組むことが大切です。
TA:高橋