担当:粕谷淳司、小形徹、三浦秀彦
すまいデザインスタジオ1の第1回目の授業です。この授業は、すまいデザインコースの必修です。
まず、粕谷先生から授業計画についての説明がありました。この授業では、空間を構成する素材(material)と、素材を空間として実体化させるためのイメージ(image)を探求し、その分析・展開によって各自が発見した方法を、主にインテリアを対象とした実空間(space)の具体的なデザインに結び付けることをテーマとします。素材・イメージを、原寸大・モデリング・ドローイング等、多様な方法によって分析し、そのプロセスを通じて、人の活動(activity)を内包する実空間を計画します。
「住宅(すまい)」を具体的な対象として、主に室内空間の諸要素(インテリア)を密度高くデザインすることが目標であり、空間を生み出すための方法を各自が発見し、具体的なプロジェクトとしてまとめ上げ、最終的に、その設計過程(process)も含めて表現することが、科目の到達目標とされています。
この授業では、前半課題である「『ちいさな空間』の制作」、「分析と展開」で得たものを、後半の設計課題へとつなげていきます。
次に、この授業を担当してくださる非常勤講師でデザイナーの三浦先生、建築家の小形先生によるレクチャーが行われました。
三浦先生からは、自身のプロジェクトや展覧会の作品などについてお話ししていただきました。普段から建築の課題に向き合っている私たちにとって、プロダクトなどの他分野のデザインや、アート活動についての話は少し違った、でもどこかでつながっているような内容で非常に興味深いものでした。三浦先生がデザインを続ける上で、「初めから完成があるわけではなく、描くことと考えることを並行して行う」、「結果だけではなく、やっていることを楽しむ」ということを大切にされているというお話が印象的でした。
小形先生からは、自身の大学時代のエピソードや建築家としてのプロジェクト、過去のこの授業の様子などをお話ししていただきました。小形先生は、関東学院大学のOBでもあります。学生時代の過ごし方について、これから先の進路を考え始める皆さんにとって、自分と重ねて考え、視野を広げるきっかけになったのではないでしょうか。また過去の「ちいさな空間」の制作の様子とそこで大切なポイントのお話は、これから始まる課題にワクワクを膨らませられるようなものばかりでした。
2人のお話の中で共通していたことは、「頭の中だけでなく、手を動かす。その過程を楽しみ、それを繰り返すことで何かがあらわれてくる。」ということでした。これは、この授業においてとても重要とされていることです。今日の先生方のお話を忘れず、心にとめておいてほしいと思います。
レクチャーのあとは、「ちいさな空間」を制作するための場所選定を行いました。学生は計8つのグループに分かれて大学内で場所を探し、その後各グループが選んだ場所を全員で見て回りました。
先生方から、これから「ちいさな空間」を制作していく上で、「頭の中で考えるだけでなく、場所をよく観察すること」、「とりあえず何かをしてみて、その度に写真におさめること」、「その場所に小さなことを与えるだけで、空間が変わるかもしれない、目に見えなかった「何か」が浮かび上がってくるかもしれない」などのアドバイスがありました。空間を見て、感じて、みんなで意見を言い合うことが大切です。
この授業は、これまでの設計製図の授業とは全く異なるアプローチで進められます。最初はそれに戸惑うこともあるかもしれませんが、この授業を通して、これからにつながる新たな感覚を得られることは間違いありません。自分の身体でたくさん動いて、感じて、思い切り楽しみながら取り組んでほしいと思います。
TA:荻尾明日海