担当教員 常勤・粕谷淳司 非常勤講師・小形徹、三浦秀彦
すまいデザインコースの必修であるすまいデザインスタジオ1の 3回目の授業です。
前回に引き続き一度教室に集まった後、それぞれの場所に分かれました。
各グループの作業の様子をご紹介します。
オープンチャーチ前円形ベンチの班は色や模様の異なる数種類のトイレットペーパーを材料に選択していました。
丸めて地面に置いたり、ベンチ中央の樹木の枝葉に被せたり、地面のタイルの間に刺した竹串に巻きつけたりしたものが、ベンチを越えて正門からの道に飛び出しています。遠目からは小さな白い物体が散乱しているように、近くまでくるとその一部が浮いているように見えます。思わず立ち止まって観察したくなる不思議な空間ができていました。
また、通りすがった学生に何をしているのかと声をかけられたり、作業に参加してもらったりと、空間をつくるだけでなくその道を通る人にとって新たな体験としての場が生まれていました。
6号館前水辺空間、1階EV付近の班です。水辺空間では横断するように引っ張られたカラーテープにコップを吊るし、風でそのコップが揺れ、それらが水面に反射している様子が浮かんでいました。
また、EV付近ではテープを何本も吊るすことで通る人の動きに変化を与えることを狙っていました。先生はこの場所について「何かを浮かせたくなるような空気がある」とコメントし、窓の遮光カーテンのひもを使い動きをつけるように操作をしており、学生たちはそれらを参考にしていました。
水辺空間とEV付近の2つの場所につながりを持たせるべきなのかどうか、それぞれの場所の特性をどう生かすかなど1人1人が様々な検討を行い、積極的に手を動かしていました。
工学本館付属棟2階外廊下の班は、5号館階段との間に架けた色とりどりのカラーテープが光に反射しながら風で揺らめく繊細な空間を作っていました。
先生からの「ほとんどの人は廊下の下を通るため、意識して見上げなければ気づかないこの空間は距離が遠く、関わりが薄くなるのではないか」というご指摘によって視線を誘導するための装置をつくることになり、空間の下に寝ころび、自然と上を向けるように椅子を並べました。
5号館の階段を選択した班はまず実習棟で水色とピンク色のテープを使い巨大な暖簾のようなものを作成し、5号館へと運びました。
班全員で持ちながら構内を歩く姿に周囲の人々が反応を示していて、先生からは「この移動する過程が面白いのではないか」というコメントがありました。
また、暖簾を曲げながら配置し動線をつくったり、遮ることでくぐり抜けるよう促したりと階段を上る、降りるという行為に変化を与えようとしていました。
6号館6階の階段を選択した班は紙で白い立方体をいくつも作成していましたが、先生からの「頭で考え、複雑化したオブジェクトを計画的に並べるのではなく、より感覚的に手を動かす」というご指摘のもと、用意した材料そのものに着目し、階段を利用する人が紙を踏んだり、蹴ったり、吊るす、布を潜るといった体験ができるものを作成しました。
6号館の色味の少なさと彼らの選択した白を基調とした紙や布が馴染み、置かれた材料によって発生する小さな音が静かな空間に響き渡ります。この場所だからこそ浮かび上がる感覚を掴むことができました。
様々に配置した材料の中で何が一番この空間に影響を与えているのかを考えてみるとよいとのアドバイスを先生からいただきました。
最後に第1課題「ちいさな空間」発表に関する説明がありました。
次回はそれぞれ発表の準備を終えた状態で14時に教室に集合し、全員で各グループの作品を見に行きます。頑張ってください。
TA伊藤