2023年12月2日(土)13:30~17:00、関東学院大学建築・環境学部創立10周年を記念した連続シンポジウム「建築・環境・学生の未来」第3回講演会が横浜・関内キャンパス、テンネー記念ホールで開催されました。
第一部は、大塚雅之建築・環境学部長の挨拶の後、芝浦工業大学建築学部建築学科教授 秋元孝之先生より「ゼロカーボンに向けた建築環境と教育」と題し、私たちの生活や建築・環境設備のあり方について基調講演をいただきました。講演では、建築を取り巻くエネルギーの問題から、環境建築の動向、ZEB・ZEHによる住宅・建築物の省エネ化、低炭素化の推進、そして既存施設(ストック)への対応など、様々な視点から環境建築への取り組みについてご説明いただきました。また、エネマネハウスプロジェクトなど芝浦工業大学の建築環境の教育についてもご紹介いただきました。講演の最後には「建築・環境を学ぶ学生が2030年に向けて考えるべきこと」を20項目のキーワードで提言いただき、中でも「未来志向のリーダーシップの発揮」は学生にとって心に刺さる言葉であったと思います。
続いて、粕谷淳司准教授からは、これまでどのような考え方で環境建築を設計してきたかをご講演いただきました。秋元先生の講演にもありました、エネマネハウスプロジェクトでの建築コンセプトや実際に設計された住宅作品での環境建築への取り組みについてご説明いただきました。また、2022年のサバティカルで訪れたドイツ・ハンブルクの住宅建築の体験を交えて環境建築のあり方についてご講演いただきました。
最後に、本学OBである竹中工務店 本村雄大氏より「実務での『学び』から学部での『学び』を考える」と題し、学生時代の経験談と建設業界での実績についてご講演いただきました。学生時代の話では、自然光や風をどのように建物に取り入れるかを考えて設計していたことなどから、当時から環境建築への関心が強かったことが伺えました。また、実務では、ゼロカーボンから更にWell-being(ウェルビーイング)など、建物の付加価値の提供に取り組んでいる事例のご紹介をいただき、最先端の建築のあり方を学ぶことができたと思います。
第二部は、秋元孝之先生、本村雄大氏、粕谷淳司准教授に登壇いただき、山口温学科長の司会でパネルディスカッションを行いました。講演の内容も踏まえ、「2050年の建築・都市・すまいの予測」「建築の各専門分野の関わり方」「現在の建築教育の課題」「学生時代のどんな経験が今に生きているか」「今の学生に対して期待すること」の5つのテーマについて議論されました。
2050年の建築・都市・すまいについて、災害に対するレジリエンス、建築の木造・木質化、既存建物の持続性などが話題となりました。また、建築の専門分野の関わり方、建築教育の課題については、分野を超えた環境配慮建築へのアプローチは、これからの若い人には建築デザインのスタンダードになりつつあることから、総合的に取り組めるプロジェクトの機会を作ることで環境配慮建築に意識を向けることが話題となりました。そして、学生に対するメッセージとして、学生時代にいろいろな経験を積んでおくことが将来の糧となることはパネリストの共通のご意見でした。
式典は、建築・環境学部の高島英幸教授の言葉で閉められました。
第三部は、横浜・関内キャンパス17階のラウンジで懇親会が開催されました。在学生の参加者に講演の感想を述べてもらいましたが、学生にとって貴重な経験となったことが伺え、環境建築に対する興味がより一層膨らんだように思われました。
懇親会は、柳澤潤教授の閉会の挨拶をもって、閉会いたしました。
次回は、10周年記念連続シンポジウムの最終回となります。2024年3月16日(土)に建築家の長谷川逸子先生をお迎えして開催予定です。