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[理工学部、建築・環境学部教養学会主催ミニ講演会] 第50回理科系学生のための公開英語講演会

2022/07/12

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理工学部、建築・環境学部教養学会主催ミニ講演会
第50回理科系学生のための公開英語講演会
English Lecture Meetings for Science-Major Students Methods for Diagnosing High Voltage Equipment

『高電圧機器の診断手法』

講師:財団法人電力中央研究所名誉研究アドバイザー
本学工学総合研究所研究員
岡本 達希 先生

理工学部、建築・環境学部教養学会では2022年7月4日、電力中央研究所名誉研究アドバイザー、岡本達希先生を講師として、「第50回理科系学生のための公開英語講演会」を開催した。今回は同タイトルでの2019年度より3回目の講演となった。

電気エネルギーは熱、光、機械的な力などの異なったエネルギーへの変換効率に優れ、その移送効率も高く、送電は現代の重要な社会基盤であり、電力の安定した供給は社会の安定には必須の要素である。一方、発電所から消費者をつなぐ送電システム上には変電所の機器を主とする様々な機器が介在し、その機能の管理においては、それらが置かれた環境や条件を考慮して、時に30年以上の年月にわたる経年劣化の状態を継続的に点検しなければならない。
岡本講師は送電における機器の劣化診断に40年以上にわたり携われてこられた経験から、個々の機器の劣化の起こり方、診断の難しい点などについて経験にもとづいた様々な問題の説明をされた。
講演の内容は電流の性質と変電所の役割についての導入に続き、変圧器の診断、ガス開閉装置の診断、電気套管の診断の順に機器の診断方法と診断における課題が説明された。
岡本講師は結語として、1)送電において用いられる機器の劣化箇所を検出するための確立された唯一の方法は存在しないこと、2)従って、いくつかの複数の検出方法を組み合わせて劣化箇所を特定する、あるいは複数の方法の比較に基づいて最も適切な方法を選んで劣化箇所を特定するというのが通常の検出方法であること、3)現場での管理の作業と並行して、常に劣化箇所を検出する方法の研究の継続が必要であること、4)機器の劣化の度合いの評価に関しても、それを決定する唯一の明確な方法は存在せず、たゆまぬ研究の推進が必要であることが語られた。

電気工学を専攻する多くの1年次生を主とする聴講者にとっては、変電所における現場の仕事の内容や今後の課題に触れる貴重な機会となった。また、講演は受講者の英語学習の動機づけへの大きな力添えとなった。

下記は当日の質疑の一部である。

Q. I learned that porcelain is generally used for bushings. When are other insulating
materials used ?
電気套管(ブッシング)には一般的に磁器が用いられると聞きましたが、どのような場合に他の絶縁物質が使われますか?
A. As you mentioned, the porcelain is mainly used for power supply lines; however, since the porcelain is heavy, polymer bushings are used to reduce the weight of high voltage lines such as rail way’s power supply lines.

Q. I heard that in some cases electricity may flow from power plants to consumers through substations with several different voltage levels. Why must the voltage of electricity be changed during its transmission?
発電所と消費者との間を、電力はいくつかの異なった電圧レベルの変電所を通って流れることがあると聞きましたが、なぜ発電所と消費者との間に異なった電圧レベルにするのですか。
A. The reason to use several different voltages is to reduce the current in order to reduce the weight of current transmission lines. The same power can be sent at higher voltage with smaller current and the lower voltage with bigger current. However, bigger current requires large conductor size and they are usually heavy. So, we need to find and use the best size for transporting the power; as a result, several different voltages are used through the transmission line.

受講者より事後に提出されたレポートには、1)変電所の多くは無人であり遠隔管理が行われているという事実を知った驚きとその管理体制への関心、2)どのような条件により様々な送電の方式、様々な変電所の設置形態の中から適切であると思われる方法が選ばれるのかという疑問、3)SCADA(監視制御とデータ取得)のシステムの性質と送電以外の領域での使用状況への関心と疑問、4)開発途上国において送電される電力の可成りの割合が低電圧部からの盗電により失われているという問題を知った驚き、5)講演会で知ったことを契機に自身で更に調べた事柄、6)専門分野ではない電気、送電の分野に興味が触発されたこと、7)専門的な英単語や英語表現を学習していたので内容が予想以上に理解できたという感想などが報告された。

2022年7月4日(月)開催


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