関東学院大学

建築・環境学部 建築・環境学科

授業紹介

環境共生デザインコース

建築・環境学科

建築環境・設備実験

音環境実験<建築環境・設備実験>

  • Category: 建築環境・設備実験
  • Posted by kgu5.
  • 2014/08/04

建築環境を構成する要素のひとつに音環境があります。音環境は用途に適した静けさと、用途に適した響きによって構成されます。特に、用途に適した静けさの実現は、建築空間の印象と機能を左右する重要な要素のひとつです。建築設備は、建築空間の温熱環境や空気環境の制御、人々が建築空間で快適に活動するために必要なさまざまな機能を実現します。しかし、これらの設備機器は、時に建築空間の音環境を悪化させる騒音源となる可能性があります。そこで、この実験では、設備機器を中心にその運転音の伝播を抑制する方法を実物を観察しながら明らかにすることを目的としています。

 

まず、音とは何かについて皆さんと一緒に考え、音が伝わるメカニズムについて議論をします。音はともて身近なものです。しかし、改めてその定義を考えようとすると意外と難しいものです。私たちは、騒音を制御する方法を学ぼうとしています。そのためには、騒音とは何か、音とは何かを考え理解を深めることが必要です。制御する相手の特徴を知ることができれば、論理的思考によってその制御方法を導くことができるからです。
音の定義と伝播のメカニズムに関する議論が進んだところで、大きな音を出す装置を想定し、その音を小さくする方法のアイディアを募ります。このときは、条件なしで意見を募ります。学生からは、さまざまな意見が出てきます。力ずくで音を止める強引な提案から、音の発生や伝播のメカニズム、聴覚の構造に着目し論理的思考に基づいて考えられたと思われるものなど多種多様にわたります。つぎに集まったアイディアを分類し、技術的に実現が困難なアイディアと、そのアイディアを実行することで機能的障害が発生するものを除外してゆきます。すると、音の伝播を抑制するには、音源を何らかの材料で囲う方法が有効であろうことが示されます。次に、何で囲うべきかを考えます。そして、最後に、建築材料と音の伝播の抑制量の関係を実物を使って観察します。すると、そこには、あるルールが存在することに学生は気がつきます。

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ところで、設備機器には換気装置や空調設備などのように、音の伝播の媒質である空気を扱う機器があります。換気装置や空調装置の運転音は、ときに騒音と認識されてしまうことがあります。そこで、この音を抑制する方法を議論します。先の観察では、装置を何らかの材料で囲うことで騒音の伝播を抑制することができました。しかし、換気装置や空調装置は、機器を囲ってしまうと機能が損なわれてしまいます。そのため、装置を完全に囲うことはできません。このような条件下での騒音の伝播の抑制は、音の伝播の機序を理解していないとなかなかな思いつくことでできません。とても難しい課題です。これらの装置の騒音の抑制に有効は方法のひとつに、吸音ダクトを用いるものがあります。実験では、3種類の吸音ダクトを使ってその効果を観察し、メカニズムを考えます。

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最後に、観察結果を裏付けるデータを取得し結果をレポートにまとめます。

 

この実験では、指導員と受講生が意見を出し合い議論をしながら対象事象に対する理解を深めることを目指しています。受講生の知識と自由な発想は、時として指導員を驚かせる提案を生み出します。実際の騒音低減対策の効果を観察したときの受講生の皆さんの素直な驚きの反応は、知識と思考と経験を結びつけた時の楽しみの体現と感じます。また、これらの実験を通して、学ぶこと考えることの面白さ、発見の楽しさをあらためて意識していただければと考えています。環境・設備の技術要素の体験を通じて、快適で居心地のよく機能的で用途に適した空間を創造できるデザイナ・技術者になってくださればと願っています。