授業紹介
すまいデザインコース
すまいデザインスタジオ
第14回第二課題全体講評〈建築・都市・すまいデザインスタジオ〉
- Category: すまいデザインスタジオ
- Posted by kgu7.
- 2021/08/04
〈公共トラック〉
非常勤講師:納谷学、高橋寛 TA:関拓海
2021.7.19(月)スタジオ第二課題全体講評を行いました。公共トラックからは荒川さん、香川さん、加藤さん、工藤さんの4名が代表で発表しました。
荒川さんは敷地周辺エリアにおける飲食店の賑わいからこの敷地には低層の飲食店が連なる場があるべきではないかと考え、屋上デッキが滑らかに湾曲した円形の商店とその中央には広場や階段といった、人が集い新たな連関が生まれるような建築を提案しました。先生方からの講評では、勾配がつくる公共性や第一課題で提案したアトラクターから生まれる公共性に関してうまく建築に取り入れている点はすばらしい一方で、都市に対する回答としてこのボリュームでいいのか疑問視される意見がありました。
香川さんは敷地が元々公園であることから、都市に対して公園を積層させるという提案を行いました。ボリュームとして防火帯建築の街並みを継承しつつ、大きな屋根が公園にひさしを作り出し、遠くからでも都市の公共空間であるとわかる建築の新たな象徴的位置付けを行いました。先生方からの講評では、都市における象徴としてのボイド・メガとしての象徴のような新たな公園と建築の提案がなされていると評価されていました。
加藤さんは国際的なまちという特徴を持つこの敷地に、インターナショナルレジデンスを提案しました。敷地の真ん中に大きな中庭を計画し、住民のみならず地域の方々も訪れ交流が生まれる場を設計しました。先生方からの講評では、そこで行われる活動(例えばお祈りなど)がより具体的に考えられると良いのではとの意見がありました。
工藤さんは第一課題から一貫して商店街とアーケードから生まれる公共性に関して研究しており、この敷地でも人の流れを捉えながら回遊する商店街の計画を行いました。先生方からの講評では、周辺敷地を読み解いて提案がなされていると評価された一方で、比較的低層で完結している点は都市に対してどう答えているのか、もっとボリュームがあってもよいのではないかといった意見がありました。
みなさん、これまで大変お疲れ様でした。「これからの都市にふさわしい公共性」という非常に難しい課題にも関わらず最後まで考え続け、今はない新しいものを生み出そうとする姿勢はとても素晴らしかったです。これからの卒業制作に向けて有意義な時間だったと思います。引き続きその姿勢を忘れずに卒業制作に取り組んでください。
TA:関拓海
〈都市トラック〉
担当教員:中津秀之准教授、粕谷淳司准教授 非常勤講師:岡路明良講師、針谷將史講師 TA:森 貴一朗
2021.7.19(月)、建築・都市・すまいデザインスタジオの第14回目の授業が行われました。本日は、各トラックから4人選出され、4トラック合同の最終講評となりました。都市トラックからは鈴木君、内藤さん、永山さん、村田君の4人が選出されました。
鈴木君は都市に対して緑地を大胆に確保して大岡川に出られてもいいのでは?というメッセージが伝わってきて良かったのですが川がテーマだとすると、川との繋がりが少し弱いと感じるといった指摘を頂きました。
内藤さんは街に対してボリュームが強烈で、4層や5層に自由曲線の大らかな屋根がかかっているが、2層など半分の高さにするか屋根を周りのスケールと合わせた方が良かったと指摘を頂きました。
永山さんは断面がとても魅力的な一方、低層部と全体の造りが同じになってしまっているため、大岡川に向かって開口があるのに繋がってないように感じる。もっと川に寄り添うアプローチの仕方があるのではと指摘を頂きました。
村田君は非現実的な提案に見えるけど非常に魅力的で、模型の作り方も自分の設計したい部分を集中して見せられていて良かった一方、提案によってできる空間で何ができるかまで提案できると良かったと指摘頂きました。
年に2回関東学院で行われている各学年各設計スタジオの代表者の発表会「バーティカルレヴュー」へは、都市トラックからは内藤さんと永山さんの2名が選ばれました。代表に選ばれた方も選ばれなかった人も今日アドバイス頂いたことを踏まえ、引き続きポートフォリオなどに載せられるようにブラッシュアップを続けてほしいと思います。
今日でデザインスタジオは終了になります。デザインスタジオの第一課題で培ったリサーチ方法や第二課題で培った設計方法を踏まえて卒業設計に挑んで欲しいと思います。
TA:森
〈リノベーショントラック〉
非常勤講師:常山未央 助手:村山徹 TA:馬場夏月
2021.7.19(月)、建築・都市・すまいデザインスタジオの第14回目の授業が行われました。今日は総合デザインのスタジオの最終提出、最終講評会です。最初の30分間で、提出したプレゼンボードや図面、模型などを全員の先生で見てもらい、各トラック4名ずつ選出、発表・講評しました。
リノベーショントラックでは、風間楓さん(6票)、小山更菜さん(7票)、柴田美波さん(5票)、星野梨音さん(6票)の4名が発表しました。
風間さんは、神田・日本橋エリアに皇居と同じ大きさの屋上緑化・太陽光や貯水槽などの再生エネルギーを活用することで、長期的なスパンで見た環境を意識したエリアリノベーションを提案しました。かなり広い視点で見たエリアリノベーションであり、都市部のヒートアイランド現象や緑地減少へ積極的に改善していきたいという想いがありました。
講評では、もう少し進んだ設計内容の提案が必要という意見や、屋上は設備スペースを置くところなので、設備と環境を絡めて考える案もあったのではないかという意見を頂きました。
小山更菜さん
小山さんは、「都市のポシェを耕す」という題名で、黄金町の小学校の通学路の中に子供たちが遊ぶ小さな遊び場を9か所デザインし、一つ一つは小さいエリアへの影響ですがそれが段々と広がっていき全体で見ていくと実は大きな範囲にまで種を蒔くような提案です。第一課題から一貫して子供の遊び場について考えており、最後まで曲げない強さのある提案になっていたと思います。
講評では、スケッチや模型というより図面を細かく描き込んだ先に見えてくる設計・表現があったのではないか、また、子供の活動や遊ぶことに特化させなくても良かったのではないかなどの意見を頂きました。
柴田美波さん
柴田さんは、三浦でシャッター街となっている道のシャッターをまず開けることをスタートとして、その1階部分のすべてを使うのではなく、500~1000㎜程度の軒先少しだけを利用し、図書スペースやギャラリー、ベンチなど人が居座れる空間を提案しました。この案はシャッターを開けたところから広がって行き、町に対して展開できることはとても良かったです。
講評では、仕掛ける範囲のネットワークが分かりやすくて良い、この町をどうにかしたいという提案の方法はよく分かるなどの意見や、提案内容が似ていることがもったいないという意見がありしました。
星野梨音さん
星野さんは、金沢八景にある5つの団地を、それぞれに合ったテーマでリノベーションしていき、団地の新しい関係性を作ろうとしていました。彼女は団地の間取りを変えたり、減築させたりしていましたが、講評では、団地の特性でもあるグラウンドレベルのランドスケープへの提案が必要だったのではないかと意見を頂きました。また、団地同士をつなぐネットワークのようなものが説明として足りなかったのではないかとの指摘もありました。
この4名はリノベーショントラックの中でも特に手を動かすのが早く、模型の量もとても多かったです。4名とも個性のある提案でもありました。ただ、すべてをやろうとするあまり、一番大切な設計内容が他のトラックよりも薄く、プレゼンテーションでは背景の説明が長く、設計内容の面白さを十分に伝えきれていなかったのが惜しかった点でした。
この半年間、卒業設計と等しいくらいの内容をスタジオで行うことはとても大変だったと思います。しかし、このスタジオの課題は常に周辺環境との関係やその地域をもっとよくしたいという想いを確認しながら進めていくことができる課題だったと思います。次は卒業制作・卒業論文です。このスタジオで得たことを活かして頑張ってください。お疲れ様でした!
TA:馬場